構造計算ルートとは?令第81条の種類と規模別の選択基準(ルート1〜3・限界耐力計算)

ルート君

構造計算ルートって、何種類あるの?

構造計算ルートは令第81条に規定され、建物の規模と高さによってルート1〜3・限界耐力計算・大臣認定ルートに分かれます。

どの構造計算ルートを採用するかは、建築物の規模・高さ・構造種別によって決まります。

令第81条が採用できる計算の種類と対象建築物を定めており、法第20条第1項の区分と連動しています。

令第81条にはどんなルートが規定されているのか

令第81条の規定 計算の種類 通称(ルート) 対象建築物
令第81条第1項 時刻歴応答解析+大臣認定 大臣認定ルート 高さ60m超の超高層建築物(法第20条第1項第一号)
令第81条第2項第一号イ 保有水平耐力計算 ルート3 高さ60m以下の大規模建築物(法第20条第1項第二号)
令第81条第2項第一号ロ 限界耐力計算 限界耐力計算 高さ60m以下(法第20条第1項第二号)の全ての規模
令第81条第2項第二号イ 許容応力度等計算 ルート2 高さ60m以下の中規模建築物(法第20条第1項第二号)
令第81条第3項 令第82条各号および令第82条の4の計算 ルート1 小規模建築物(法第20条第1項第三号)
令第81条第3項(R7.4.1新設) 令第82条各号+鉄骨造固有の検討(幅厚比・層間変形角等) ルート1-3 高さ13m超16m以下の鉄骨造(法第20条第1項第三号)

木造建築物における構造計算の対象規模と各ルートの関係については、国土交通省の資料(下図)で整理されています。

国土交通省 改正建築基準法について(令和4年6月公布)法第20条第1項第2号・階高の高い3階建て木造建築物等の構造計算の合理化
出所:国土交通省住宅局「改正建築基準法について」(令和4年6月公布)p.15 法第20条第1項第2号・階高の高い3階建て木造建築物等の構造計算の合理化(改正前後の規模・ルート対応表)。

建物の規模によってどのルートが最低限必要か

法第20条第1項の区分は令第36条の2で詳細化されており、構造種別・高さ・床面積によって「小規模(第四号・第三号)」「中規模・大規模(第二号)」「超高層(第一号)」に分けられます。

構造種別 規模の基準(例) 最低ルート
木造 3階建て以上または延べ面積300㎡超、あるいは4階以上または高さ16m超(R7.4.1改正後) ルート2以上
RC造・鉄骨造 高さ20m超 ルート2以上
RC造・鉄骨造 高さ31m超(耐震壁付きRC造等の例外を除く) ルート3以上

構造計算適合性判定はどのルートで必要か

ルート2(許容応力度等計算)のうち大規模な建築物、およびルート3(保有水平耐力計算)を採用する場合は、原則として構造計算適合性判定機関による審査が必要です(法第6条の3)。

ただし、ルート2を特定構造計算基準に適合することを確認できる建築主事等(「ルート2主事」)が審査する場合は、適合性判定が免除されます。

なぜ構造計算ルートが規模別に複数設けられているのか

建物が大きいほど地震被害の甚大さが増し、設計の誤りが取り返しのつかない結果になりかねません。

その一方で、小規模建築物に超高層ビルと同等の精度の計算を義務付けることは、技術的にも経済的にも不合理です。

そこで、規模・高さ・用途に応じて計算の精度と手間を段階的に変える複数のルートが設けられています。

大きな建物ほど精緻な計算(ルート3・大臣認定)を要求し、小さな建物は簡便な計算(ルート1)で対応できます。

これは「合理的な規制」という行政法規の原則に基づいた設計思想です。

現在の実務では一貫構造計算プログラムがルートを自動判定する。それでもルートの体系を自分の頭で整理しておかなければ、プログラムの出力が正しいかどうかを確認することができない。

試験で問われやすいポイント

  • 令第81条の各ルートの根拠条文と対象:大臣認定ルート→第1項、ルート3→第2項第一号イ、限界耐力計算→第2項第一号ロ、ルート2→第2項第二号イ、ルート1→第3項。令第81条の第1〜3項の構成が問われる(令和5年 学科3 問11)。
  • 高さ60m超と60m以下の区分(法第20条第1項):高さ60m超→大臣認定ルートが必要(法第20条第1項第一号)。高さ60m以下→ルート1〜3または限界耐力計算が選択可能(法第20条第1項第二号・第三号)。「高さ60m超でもルート3を使える」は誤り
  • 適合性判定の要否(令和5年 学科3 問11参照):ルート2(大規模)・ルート3・限界耐力計算→適合性判定必要。ルート1・大臣認定ルート→不要。「高い計算ほど判定が必要」は原則として正しいが、大臣認定ルートは例外(大臣認定の審査が代替)。

一問一答

Q. ルート3(保有水平耐力計算)の根拠条文はどれか(令第81条)。また対象となる建築物は何か。

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令第81条第2項第一号イ。高さ60m以下の法第20条第1項第二号の建築物に適用できる計算方法。RC造・鉄骨造で高さ20m超またはRC造で高さ31m超(耐震壁付きRC造等の特例を除く)などが典型的な対象(令第81条第2項・令第36条の2)。

Q. 高さ45mのRC造建築物に採用できる最高の計算ルートは何か。また適合性判定は必要か。

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高さ60m以下のため大臣認定ルートは不要。採用できる最高の計算は「ルート3(令第81条第2項第一号イ)」または「限界耐力計算(令第81条第2項第一号ロ)」。ルート3・限界耐力計算とも適合性判定が必要(法第6条の3)。

Q. ルート1のみで計算した建築物に適合性判定は必要か。また高さ60m超の建築物では何が必要か。

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ルート1のみ→適合性判定不要(法第6条の3・令第81条第3項の建築物は特定構造計算基準に該当しない)。高さ60m超(法第20条第1項第一号)→令第81条第1項の大臣認定ルートが必要で、適合性判定は大臣認定の審査で代替されるため不要(令和2年 学科3 問53)。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法 第20条(構造耐力)
  • 建築基準法 第6条の3(構造計算適合性判定)
  • 建築基準法施行令 第36条の2(建築物の区分)
  • 建築基準法施行令 第81条(構造計算の種類)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。