令第36条の2とは?木造・RC・鉄骨造の規模区分と構造計算ルートの対応

ルート君

建物の規模によって、適用される構造規定が変わるって、どうやって判断するの?

令第36条の2は、法第20条第1項第二号の「政令で定める建築物」を定める条文です。ここに該当する建築物は法第20条第1項第二号に区分され、令第81条第2項の構造計算(保有水平耐力計算・限界耐力計算・許容応力度等計算=ルート2以上)が必要となり、ルート1(令第81条第3項)では設計できません。

なお、鉄骨造で階数4以上・RC造/SRC造で高さ20m超といった主要な大規模建築物は、法第20条第1項第二号の本文(法第6条第1項第三号)に直接定められています。令第36条の2は、それらに「準ずる」建築物を補足する位置づけの政令です。

令第36条の2は何を定めているのか

建築基準法施行令 第36条の2(構造計算が必要な建築物)

法第20条第1項第二号の政令で定める建築物は、次に掲げるものとする。

令第36条の2の各号にはどんな建築物が挙げられているのか

建築物
第一号 組積造又は補強コンクリートブロック造で、地階を除く階数が4以上のもの
第二号 鉄骨造で、地階を除く階数が3以下かつ高さが16mを超えるもの
第三号 鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造とを併用する建築物で、高さが20mを超えるもの
第四号 木造・組積造・補強CB造・鉄骨造のうち2以上を併用、又はこれらの1以上とRC造・SRC造とを併用する建築物で、イ 地階を除く階数4以上 又は ロ 高さ16m
第五号 前各号のほか、地震力による各階の水平方向の変形把握が必要なものとして国土交通大臣が指定する建築物

※「延べ面積3,000㎡超」「延べ面積1,000㎡超」「高さ13m超」といった数値は令第36条の2には規定されていません(法第6条等の別条文との混同に注意)。

よくある混同に注意

R7.4.1改正(2025年4月施行)で、鉄骨造等の高さ基準は「13m超」から「16m超」に引き上げられました(現行の第二号=鉄骨造・階数3以下かつ高さ16m超)。

木造単独の大規模建築物の構造計算の要否(階数・高さ16m・延べ面積300㎡超等)は、令第36条の2ではなく法第6条・法第20条(及び令第81条)で判断します。延べ面積300㎡は確認・四号特例(法第6条)に関わる数値で、令第36条の2の各号には現れません。

木造建築物における構造計算の対象規模について、国土交通省の資料(下図)では改正前後の変化が整理されています。

国土交通省 改正建築基準法について(令和4年6月公布)木造建築物の構造計算対象の規模 改正前後
出所:国土交通省住宅局「改正建築基準法について」(令和4年6月公布)p.17 木造建築物の構造計算対象の規模(改正前後)。

令第36条の2に該当する/しないで構造計算はどう変わるのか

  • 令第36条の2に該当(=法第20条第1項第二号):令第81条第2項の構造計算(保有水平耐力計算・限界耐力計算等=ルート2・3/限界耐力)が必要。ルート1では設計できない。
  • 該当せず、法第6条第1項の規模の建築物(法第20条第1項第三号):令第81条第3項の許容応力度計算(令第82条各号・令第82条の4=ルート1)でも設計できる。
  • 小規模(法第20条第1項第四号):令第82条の規定による構造計算(又は仕様規定)による。

四号特例(法第6条)との関係はどうなっているのか

  • 確認申請で構造計算書等の提出を省略できる四号特例法第6条の制度で、令第36条の2(構造計算ルートの要否)とは別の話です。
  • R7.4.1改正で四号特例は縮小され、木造でも2階建て(又は延べ面積200㎡超)は確認審査の対象(新二号)に移行しました。これは法第6条(新二号=階数2以上又は200㎡超)の改正であり、令第36条の2(300㎡等の構造計算ルートの数値)とは別の話です。
  • いずれの場合も仕様規定(令第36条第3項等)への適合は引き続き必要です。

なぜ構造種別によって規模基準が違うのか

木造はRC造・鉄骨造に比べて材料のばらつきが大きく、職人の技能や施工品質の影響を受けやすい構造です。

そのため、かつては小さい規模から構造計算が求められていました。

R7.4.1改正では木造の規模基準が見直されましたが、これは現在の木造技術の進歩と設計・施工水準の向上を踏まえた変更です。

構造計算の要否が構造種別ごとに異なるのは、こうした材料・施工特性の違いが背景にあります。

試験で問われやすいポイント

  • 令第36条の2の現行の各号(要暗記):一号=組積造・補強CB造で4階以上/二号=鉄骨造で3階以下かつ高さ16m超/三号=RC造+SRC造の併用で20m超/四号=混構造で4階以上又は16m超/五号=大臣指定
  • 「延べ面積3,000㎡超」「1,000㎡超」「高さ13m超」は令第36条の2には存在しない(法第6条等との混同に注意)。R7.4.1改正で鉄骨造の高さ基準は13m→16mに引き上げ。
  • 令第36条の2に該当=法第20条第1項第二号=ルート2以上(令第81条第2項)。該当しない法第6条規模の建築物はルート1(令第81条第3項)も可。木造の延べ面積300㎡超は令第36条の2ではなく法第6条(確認・四号特例縮小)の話。

一問一答

Q. 鉄骨造・平家建て・高さ18mの建築物は令第36条の2に該当するか。

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該当する(第二号:鉄骨造で地階を除く階数3以下かつ高さ16m超)。よって法第20条第1項第二号に区分され、令第81条第2項のルート2以上の構造計算が必要。

Q. 鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造を併用する高さ22mの建築物は令第36条の2の何号か。

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第三号(RC造とSRC造を併用し高さ20m超)。法第20条第1項第二号に該当し、ルート2以上の構造計算が必要。なお高さ20mちょうどは「超える」に当たらない。

Q. 「延べ面積3,000㎡超」「高さ13m超」という基準は令第36条の2に含まれるか。

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含まれない。令第36条の2の各号は「構造種別+階数(4以上/3以下)+高さ(16m・20m)」で構成されており、延べ面積や「13m」という数値は規定されていない。これらは法第6条等の別の条文にある数値で、混同しないこと。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法 第20条第1項(構造耐力)
  • 建築基準法施行令 第36条の2(構造計算が必要な建築物)
  • 建築基準法施行令 第36条(仕様規定の適用)
  • 建築基準法施行令 第81条(構造計算の種類)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。