免震構造とは?アイソレータ・ダンパーの構成と法的根拠(令第81条第1項)

ルート君

免震構造って、どんな法的なルールがあるの?

免震構造は、令第81条第1項の大臣認定ルートに位置付けられ、アイソレータとダンパーで構成されます。

免震構造は、建物と地盤の間に免震層(アイソレータ・ダンパー等)を設けることで、地震動が建物上部に伝わりにくくする構造形式です。

建築基準法上は、原則として令第81条第1項の「大臣認定ルート」(超高層建築物等の特別な計算方法)に基づく大臣認定が必要です。ただし高さ60m以下で平成12年建設省告示第2009号の構造方法に適合する場合は、限界耐力計算による設計(告示免震ルート)も可能です。

免震構造はどんな法的根拠で設計するのか

根拠規定 内容
令第81条第1項 大臣認定に基づく構造計算方法(超高層・免震・制振等が対象)
法第20条第1項第一号 大臣認定を受けた構造方法等による場合は規定の強度を確保したとみなす
令第36条第1項 耐久性等関係規定は大臣認定ルートでも常に適用

アイソレータとダンパーはどんな役割があるのか

要素 役割 主な部材
アイソレータ(支承) 鉛直荷重を支持しながら水平変形を許容する 積層ゴム支承(鉛入り・天然ゴム等)・すべり支承・転がり支承
ダンパー(減衰装置) 免震層の変形エネルギーを吸収して応答を低減する 鉛ダンパー・鋼材ダンパー・オイルダンパー・粘弾性ダンパー
免震層(アイソレーション層) アイソレータとダンパーを一体的に組み合わせた層 建物の基礎直上または中間階に設置

免震構造に用いられる減衰材(ダンパー)とアイソレータ(積層ゴム支承等)の種類は、国土交通省の資料(下図)でも例示されています。

国土交通省 免震材料大臣認定 減衰材として使用される免震ダンパー等の例(参考資料5-1)
出所:国土交通省「免震材料・制振ダンパーに係る大臣認定事業者一覧(参考資料5-1)」 減衰材として使用される免震ダンパー等の例(オイルダンパー・鋼材ダンパー・鉛ダンパー・摩擦ダンパー・高減衰ゴム系積層ゴム支承・鉛プラグ入積層ゴム支承等)。

免震構造にはどんな耐震性能上の特徴があるのか

免震構造では、固有周期を長周期化(通常2〜5秒程度)することで地震応答加速度を大幅に低減できます。

上部構造の層間変形角は通常1/200〜1/1000程度と小さくなり、建物・設備・内容物への被害を最小化できます。

ただし、長周期地震動に対しては免震効果が低下する場合があるため、設計時に長周期成分の地震動を考慮する必要があります。

大臣認定はどんな流れで取得するのか

免震構造の設計では、①免震部材(アイソレータ・ダンパー)の大臣認定取得、②建物全体の構造計算(時刻歴応答解析等)、③建築確認時の構造計算適合性判定の手続きが必要です。

免震部材自体の大臣認定と、建物としての構造計算の認定は別々の手続きとなります。

免震構造で大臣認定が不要になるケースはあるか

免震建築物のすべてが令第81条第1項の大臣認定ルートになるわけではありません。平成12年建設省告示第2009号「免震建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件」が、免震建築物の構造方法と計算方法を定めています。

高さ60m以下で、この告示が定める構造方法(免震材料・基礎・地盤の条件等)に適合する免震建築物は、令第81条第2項の限界耐力計算等によって設計でき、時刻歴応答解析による大臣認定を要しません(いわゆる「告示免震」「告示ルート」)。ただしこの場合でも、限界耐力計算は構造計算適合性判定の対象となります。

一方、高さ60mを超える免震建築物や、告示の構造方法に拠らない場合は、令第81条第1項の時刻歴応答解析にもとづく大臣認定が必要です。

区分 根拠 大臣認定 適合性判定
告示免震ルート(高さ60m以下・告示2009号の構造方法に適合) 令第81条第2項(限界耐力計算)+告示第2009号 不要 必要
大臣認定ルート(高さ60m超、または告示の方法に拠らない) 令第81条第1項(時刻歴応答解析) 必要 不要(大臣認定の審査で代替)

なぜ免震構造は大臣認定ルートが必要なのか

仕様規定や通常の構造計算ルート(ルート1〜3)は「建物と地盤が一体で揺れる」ことを前提として設計地震力を算定しています。

免震構造はその前提を根本から変える設計法であるため、既存の計算方式では評価できません。

免震層の特性・変形性能・復元力モデルを個別に評価する高度な計算(時刻歴応答解析等)が必要であり、その妥当性を国土交通大臣が認定する制度が大臣認定ルートです。

長周期地震動に対して免震効果が低下するのはなぜか

免震構造は固有周期を2〜5秒程度に長周期化することで地震応答を低減しますが、入力地震動の卓越周期が建物の固有周期に近づくと共振が生じます。

通常の地震動は短周期成分が卓越するため免震効果が高いですが、長周期成分が卓越する地震動(長周期地震動)では免震層の変形が増大し、効果が低下または逆効果になる可能性があります。

2011年東日本大震災以降、長周期地震動対策が設計上の重要課題となっています。

試験で問われやすいポイント

  • 免震構造の原則的な法的根拠は令第81条第1項(大臣認定ルート)で、この場合は適合性判定は不要(大臣認定の審査で代替)。ただし高さ60m以下で平成12年建設省告示第2009号の構造方法に適合すれば、令第81条第2項の限界耐力計算による「告示免震ルート」も可能(この場合は大臣認定不要だが適合性判定は必要)。耐久性等関係規定(令第36条第1項)はいずれのルートでも常に適用される。
  • 免震構造の固有周期は長周期化(通常2〜5秒程度)することで応答加速度を大幅に低減できる。上部構造の層間変形角は通常1/200〜1/1000程度まで小さくなり、損傷を最小化できる。
  • 長周期地震動(周期2〜5秒)が入力された場合は免震層が共振して応答が増大する可能性があり、免震効果が低下する場合がある。設計時に長周期成分の地震動を別途考慮することが必要。

一問一答

Q. 免震構造の確認申請には適合性判定が必要か?

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A. ルートによる。令第81条第1項の大臣認定ルート(高さ60m超等)では大臣認定の審査が適合性判定に相当するため不要。一方、高さ60m以下で平成12年建設省告示第2009号の構造方法に適合する「告示免震ルート」は令第81条第2項の限界耐力計算によるため、大臣認定は不要だが構造計算適合性判定は必要

Q. 積層ゴム支承の2つの機能は何か?

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A. ①鉛直荷重(建物自重)を支持すること、②水平方向に大きく変形することを許容して建物の固有周期を長周期化すること。エネルギー吸収(ダンパー機能)は積層ゴム支承の主機能ではなく、鉛入り積層ゴムは減衰性も兼ねるが、ダンパーとアイソレータは通常別部材。

Q. 免震構造が長周期地震動に対して注意が必要な理由は?

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A. 免震構造の固有周期は2〜5秒程度に長周期化されているため、長周期成分(周期2〜5秒)の地震動が入力されると建物が共振し、免震層の変形が増大して免震効果が低下または逆効果になる可能性があるため。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法 第20条第1項第一号(大臣認定に基づく構造安全性)
  • 建築基準法施行令 第81条第1項(大臣認定に基づく構造計算)・第2項(限界耐力計算)
  • 平成12年建設省告示第2009号(免震建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件)
  • 建築基準法施行令 第36条(耐久性等関係規定の適用)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。