用途変更とは?確認申請が必要な場合と構造規定の遡及(法第87条)

ルート君

建物の使い方を変える「用途変更」で、構造のルールは新しい基準に合わせ直すの?

用途変更とは、既存の建築物の用途を変えることをいい、一定の場合には確認申請が必要です(法第87条)。

構造の観点で重要なのは、用途変更では構造耐力(法第20条)の規定は遡及せず、既存の構造のまま(既存不適格)扱いになる点と、用途によって積載荷重が変わる点です。

用途変更で確認申請が必要なのはどんな場合か

区分 確認申請の要否
用途変更して、法第6条第1項第一号の特殊建築物(その用途部分の床面積が200m²超)にする場合 必要(法第87条第1項で法第6条等を準用)
類似の用途相互間の変更(令第137条の18に掲げるもの) 不要
特殊建築物にしない用途変更/200m²以下の場合 確認は不要(ただし関係規定の適合は必要)

建築基準法 第87条第1項(用途変更に対する準用)の骨子

建築物の用途を変更して、法第6条第1項第一号の特殊建築物(その用途に供する部分の床面積の合計が200m²を超えるもの)のいずれかとする場合は、確認等に関する規定(法第6条等)を準用する。ただし、政令で指定する類似の用途相互間の用途変更については、この限りでない。

類似の用途とは何か(令第137条の18)

用途変更でも、変更前後が「類似の用途」相互間にあたる場合は確認申請が不要です。類似の用途は令第137条の18に列挙されており、たとえば劇場と映画館、下宿と寄宿舎など、性格の近い用途どうしが該当します。

ただし、類似用途であっても、防火地域・準防火地域内では適用されない場合があるなど例外があるため、実際の要否は所管行政庁での確認が必要です。

用途変更で構造の規定は遡及するのか

用途変更では、すべての現行規定が遡って適用されるわけではありません。法第87条第3項により、避難・防火・衛生に関する一定の規定は用途変更後の建築物に準用(遡及適用)されますが、構造耐力(法第20条)などの構造関係規定は準用されず、原則として遡及しません

つまり、既存の建築物が古い構造基準で建てられていても、用途変更を理由に現行の構造基準へ合わせ直す義務は原則として生じず、既存不適格のまま扱われます。これは増築の場合に構造規定の遡及(令第137条の2等)が問題になるのとは異なる点です。

構造で注意すべきことは何か(積載荷重の変化)

構造規定が遡及しないとしても、用途変更によって積載荷重が大きくなる場合は、構造安全上の注意が必要です。

用途変更の例 構造上の懸念
事務室 → 書庫・倉庫 積載荷重が大幅に増加し、床・はり・柱・基礎の耐力が不足するおそれ
住宅・事務所 → 店舗・集会場 積載荷重の増加に加え、人が集中する用途への変化

積載荷重は用途ごとに令第85条で定められており、倉庫・書庫などは事務室より大きな値が設定されています。法的に構造規定が遡及しなくても、既存の躯体が新しい用途の荷重に耐えられるかを設計者が確認することが望ましく、危険があれば補強等が検討されます。また、用途変更にあわせて大規模の修繕・模様替や増築を行う場合は、その工事部分について別途、構造関係規定の対象になります。

用途変更後はどんな手続きが必要か

確認を要する用途変更では、工事の完了後に、建築主は建築主事(特定行政庁)に届け出る必要があります(法第87条第1項後段)。新築等のような完了検査・検査済証の交付ではなく、「完了の届出」である点が特徴です(工事を伴わない用途変更もあるため)。

なぜ用途変更に確認が必要なのか

建築物は、用途によって求められる防火・避難・衛生などの基準が異なります。たとえば事務所を物販店舗や福祉施設に変えれば、不特定多数や避難に配慮が必要な人が利用することになり、必要な安全性能が変わります。

そこで、一定規模以上の特殊建築物にする用途変更には確認申請を求め、用途に応じた安全性を改めて確認することとしています。一方で、構造耐力までさかのぼって合わせ直すことは過大な負担となるため、構造規定は原則遡及させず、積載荷重の増加など実際に危険となる場面で個別に対応する仕組みになっています。

試験で問われやすいポイント

  • 用途変更の確認(法第87条第1項):用途変更して法第6条第1項第一号の特殊建築物(用途部分が200m²超)にする場合に確認が必要。類似の用途相互間(令第137条の18)は確認不要。
  • 構造規定の遡及:構造耐力(法第20条)は用途変更では準用されず、原則として遡及しない(既存不適格のまま)。避難・防火・衛生の一部規定は法第87条第3項で遡及する。
  • 構造上の注意:用途変更で積載荷重が増える場合(事務室→倉庫・書庫等)は、法的遡及がなくても既存躯体の構造安全の確認が必要。積載荷重は用途別に令第85条で定められている。
  • 手続き:確認を要する用途変更は、工事完了後に特定行政庁へ届出(完了検査・検査済証ではない)。

一問一答

Q. 用途変更で確認申請が必要なのはどんな場合か。

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A. 用途変更して法第6条第1項第一号の特殊建築物(その用途部分の床面積が200m²超)にする場合に確認が必要(法第87条第1項)。類似の用途相互間(令第137条の18)の変更は確認不要。

Q. 用途変更で構造耐力の規定(法第20条)は遡及するか。

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A. 原則として遡及しない。法第87条第3項で準用されるのは主に避難・防火・衛生に関する規定で、構造耐力(法第20条)は準用されず、既存不適格のまま扱われる。ただし積載荷重が増える用途変更では、構造安全の確認が実務上必要。

Q. 確認を要する用途変更の完了後の手続きは?

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A. 工事完了後に特定行政庁へ届け出る(法第87条第1項後段)。新築等のような完了検査・検査済証の交付ではなく「完了の届出」である点が特徴。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。用途変更で準用される規定の範囲・類似用途の適用は個別の判断を要するため、具体的な取扱いは所管の特定行政庁でご確認ください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。

参照

  • 建築基準法 第87条(用途の変更に対する準用)
  • 建築基準法施行令 第137条の18(建築物の用途を変更して確認等の手続を要しない類似の用途)
  • 建築基準法 第20条(構造耐力)・第3条第2項(既存不適格)
  • 建築基準法施行令 第85条(積載荷重)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。