工事監理とは?工事管理との違いと建築士の責務(法第5条の6・建築士法第18条)
ルート君
「工事監理」と「工事管理」って同じ読みだけど、何が違うの?
工事監理とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、設計図書のとおりに実施されているかどうかを確認することをいいます(建築士法第2条第8項)。
一定の建築物では建築士である工事監理者を定めることが義務づけられており(法第5条の6)、構造設計図書どおりに施工されているかを確認する重要な役割を担います。
工事監理とは何か
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | その者の責任において、工事を設計図書と照合し、設計図書のとおりに実施されているか否かを確認すること(建築士法第2条第8項) |
| 根拠条文 | 建築基準法 第5条の6(建築士でなければできない工事監理・工事監理者の選任)/建築士法 第2条第8項(定義)・第18条(業務) |
| 行う者 | 建築主が定める工事監理者(一定の建築物では建築士に限る) |
| 立場 | 建築主の側に立ち、設計図書どおりの施工を確認する(施工者側の管理とは別) |
建築士法 第2条第8項(工事監理の定義)
この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
工事監理者は誰が定めるのか(法第5条の6)
建築基準法第5条の6は、一定規模以上の建築物について、建築士でなければ設計・工事監理ができないことを定めています。資格の区分は建築士法第3条〜第3条の3の規模に対応します。
| 建築物の規模・用途 | 設計・工事監理ができる建築士 |
|---|---|
| 大規模・特殊なもの(建築士法第3条) | 一級建築士 |
| 中規模のもの(建築士法第3条の2) | 一級建築士・二級建築士 |
| 木造の一定規模(建築士法第3条の3) | 一級建築士・二級建築士・木造建築士 |
そして、これらの建築物を建築する場合、建築主は当該規模に応じた建築士である工事監理者を定めなければなりません(法第5条の6第4項)。工事監理者を定めないで工事をすることはできず、工事監理者の氏名は確認申請等で明らかにされます。
工事監理者はどんな業務を行うのか(建築士法第18条)
工事監理を行う建築士の業務の流れは、建築士法第18条に定められています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① 照合・確認 | 工事を設計図書と照合し、設計図書のとおりに実施されているかを確認する。 |
| ② 施工者への指摘 | 設計図書のとおりに実施されていないと認めたときは、直ちに工事施工者に注意を与え、是正を求める。 |
| ③ 建築主への報告 | 工事施工者が②に従わないときは、その旨を建築主に報告する。 |
工事監理者は、工事の完了時には工事監理の結果を建築主に報告します。設計図書どおりに施工されていることを、建築主に代わって専門家の目で確認するのが工事監理の本質です。
工事監理と工事管理(施工管理)はどう違うのか
「工事監理」と「工事管理」は読みが同じ(こうじかんり)ですが、意味は異なります。実務では区別のために工事監理を「さらかん」、工事管理を「たけかん」と呼ぶこともあります。
| 項目 | 工事監理 | 工事管理(施工管理) |
|---|---|---|
| 立場 | 建築主の側(設計図書どおりかを確認) | 施工者の側(工事を進める) |
| 行う者 | 建築士である工事監理者 | 施工者の現場代理人・監理技術者・主任技術者等 |
| 主な目的 | 設計図書との適合の確認 | 工程・品質・安全・原価の管理 |
| 根拠 | 建築基準法・建築士法 | 建設業法 |
つまり、工事監理は「設計どおりに造られているかを建築主の立場でチェックする」業務、工事管理(施工管理)は「施工者が工事を適切に進める」業務であり、立場も根拠法も異なります。
構造の工事監理では何を確認するのか
構造に関する工事監理では、構造設計図書(構造詳細図・配筋図・標準仕様書等)どおりに施工されているかを、特に完成後に隠れてしまう部分について確認します。
| 確認の対象 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 配筋(RC造) | 鉄筋の本数・径・間隔・かぶり厚さ・継手や定着の長さが図面どおりか |
| 接合部(鉄骨造) | 高力ボルトの本数・締付け、溶接の種類・品質が図面どおりか |
| 基礎・地盤 | 支持地盤の確認、基礎の配筋・寸法、アンカーボルトの位置が図面どおりか |
これらは中間検査で行政が確認する部分と重なりますが、行政の検査は特定工程の節目だけを対象とするのに対し、工事監理は工事全体を通じて設計図書との適合を継続的に確認する点で役割が異なります。両者が機能することで、構造の安全が施工段階で担保されます。
なぜ工事監理が義務づけられているのか
どれだけ精密に構造計算・構造設計を行っても、施工が図面どおりでなければ、想定した構造性能は発揮されません。配筋やかぶり厚さが図面と違えば、計算上の耐力が確保されないおそれがあります。
そこで、設計と施工が分離していても設計の意図が確実に実現されるよう、一定の建築物では建築士による工事監理を義務づけ、設計図書どおりの施工を専門家が確認する仕組みがとられています。設計(構造計算・確認)と施工(検査)をつなぐ要が工事監理です。
試験で問われやすいポイント
- 工事監理の定義(建築士法第2条第8項):その者の責任において、工事を設計図書と照合し、設計図書のとおりに実施されているか否かを確認すること。
- 選任義務(法第5条の6):一定規模以上の建築物では建築主が建築士である工事監理者を定めなければならない。資格区分は建築士法第3条〜第3条の3の規模に対応。
- 業務の流れ(建築士法第18条):設計図書と照合 →(不適合なら)工事施工者に注意 →(従わないなら)建築主に報告。
- 工事監理 ≠ 工事管理:工事監理は建築主の側で設計図書との適合を確認(建築士法)、工事管理(施工管理)は施工者の側で工程・品質等を管理(建設業法)。立場も根拠法も異なる。
一問一答
Q. 工事監理の定義と根拠条文は?
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A. その者の責任において、工事を設計図書と照合し、設計図書のとおりに実施されているか否かを確認すること(建築士法第2条第8項)。一定の建築物では建築主が建築士である工事監理者を定める義務がある(建築基準法第5条の6)。
Q. 工事監理者は、施工が設計図書どおりでないときどうするか(建築士法第18条)。
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A. 直ちに工事施工者に注意を与え、是正を求める。施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告する(建築士法第18条)。
Q. 工事監理と工事管理(施工管理)の違いは?
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A. 工事監理は建築主の側に立ち、設計図書どおりに施工されているかを確認する業務(建築基準法・建築士法)。工事管理(施工管理)は施工者の側で工程・品質・安全等を管理する業務(建設業法)。立場も根拠法も異なる。
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参照
- 建築基準法 第5条の6(建築物の設計及び工事監理)
- 建築士法 第2条第8項(工事監理の定義)
- 建築士法 第3条〜第3条の3(建築士でなければできない設計・工事監理の範囲)
- 建築士法 第18条(設計及び工事監理に当たっての建築士の義務)