特定天井とは?高さ・面積・質量の3条件と設計ルートの選択(令第39条第3項)
ルート君
特定天井って、どんな天井のことなの?
特定天井は、高さ6m超・面積200㎡超・質量2kg/㎡超の3条件を満たす天井で、令第39条第3項に規定する耐震設計が必要です。
2011年の東日本大震災で吊り天井の落下被害が多発したことを受け、2014年に「特定天井」の規定(令第39条第3項)が新設されました。
特定天井に該当する天井は、構造計算またはそれと同等以上の方法で設計することが義務づけられています。
特定天井はどんな天井のことなのか(令第39条第3項)
建築基準法施行令 第39条第3項(特定天井)
特定天井(脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井として国土交通大臣が定めるもの)の構造は、構造耐力上安全なものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの、又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。(概要)
以下の3条件を全て満たす天井が「特定天井」に該当します。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 高さ | 天井の高さが6m超 |
| 面積 | 天井の水平投影面積が200m²超 |
| 質量 | 天井の単位面積当たりの質量が2kg/m²超 |
3条件を全て満たさない場合は特定天井に該当せず、令第39条の一般的な規定のみ適用されます。
特定天井の定義とその検証ルートは、国土交通省の資料(下図)でも整理されています。
特定天井の設計方法にはどんな選択肢があるのか(告示第771号)
特定天井の設計は、平成25年国土交通省告示第771号に定める方法のいずれかによります。
| 設計方法 | 内容 |
|---|---|
| 仕様ルート | 告示771号に定める仕様(ブレース設置・クリアランス確保等)を全て満たす |
| 計算ルート | 地震荷重に対する許容応力度計算等で安全を確認する |
| 大臣認定ルート | 国土交通大臣の認定を受けた構造方法を採用する |
仕様ルートで何を満たさなければならないのか(告示第771号)
- 天井の周囲にクリアランス(すき間)を6cm以上確保する。
- ブレース(斜め補剛材)を45度以下の傾きで設置する。
- 斜め部材の水平方向の有効長さを2.7m以下とする。
- 吊りボルトの径はM9以上とし、長さは1.5m以下とする。
- 野縁(のぶち)と野縁受けの接合は専用クリップ等で確実に固定する。
特定天井は確認申請でどう扱われるのか
特定天井に該当する場合は、確認申請時に天井の構造設計の根拠(仕様ルートの適合確認または計算書・認定書)を添付する必要があります。
既存建築物の大規模修繕・模様替えで特定天井を変更する場合も、当該規定の適合確認が必要です。
なぜ特定天井の規定は2014年に新設されたのか
2011年の東日本大震災では、体育館・工場・駅などで吊り天井が広範囲に落下し、多数の怪我人・死者が出ました。
それまで天井の耐震設計に明確な基準がなく、重い仕上げ材を使った大規模な吊り天井が地震力に対して脆弱であることが明らかになりました。
この教訓を受けて2014年に令第39条第3項が新設され、特定天井の定義と設計基準が法令化されました。
なぜ仕様ルートでクリアランスが必要なのか
地震時、天井は建物本体とは異なる振動特性で揺れます。
建物が揺れても天井が遅れて応答するため、天井と壁面が衝突すると天井が破損・落下します。
仕様ルートで6cm以上のクリアランスを確保するのは、この衝突を防ぐためです。
6cmという数値は、特定天井の想定振幅から設定されています。
試験で問われやすいポイント
- 特定天井の定義3条件(告示・令第39条第3項):高さ6m超・水平投影面積200m²超・単位面積質量2kg/m²超の3つを全て満たす天井。1条件でも欠けると特定天井に非該当。
- 設計3ルートの存在(令第39条第3項・告示771号):仕様ルート(告示771号の仕様全適合)・計算ルート(許容応力度計算等)・大臣認定ルートの3択。大臣認定ルートは独自の構造方法を用いる場合に選択する。
- 仕様ルートのクリアランス(告示771号):天井の周囲に6cm以上のすき間を確保する。地震時に天井が揺れても壁面に衝突しないようにするための措置。
- 吊りボルトの仕様(告示771号):径M9以上・長さ1.5m以下。吊りボルトの数は1本/m²以上とする(単位面積あたりの吊り材配置)。
- ブレース(斜め補剛材)の傾き(告示771号):水平面から45度以下の傾きで設置し、斜め部材の水平方向有効長を2.7m以下とする。
一問一答
Q. 天井高さ7m、水平投影面積250m²、単位面積質量1.8kg/m²の吊り天井は「特定天井」に該当するか。
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非該当。単位面積質量が2kg/m²超という条件を満たさないため(1.8kg/m² ≦ 2kg/m²)、3条件のうち1条件が欠けており特定天井に非該当(令第39条第3項)。
Q. 特定天井の仕様ルートで、天井の周囲に確保すべきクリアランス(壁面との隙間)は何cm以上か。
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6cm以上(平成25年国土交通省告示第771号)。地震時に天井が揺れても壁面に接触しないよう設ける。
Q. 特定天井の設計方法として定められている3つのルートを答えよ。
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①仕様ルート(告示771号に定める仕様に全て適合させる)・②計算ルート(地震荷重に対する許容応力度計算等による安全確認)・③大臣認定ルート(国土交通大臣認定の構造方法を採用)(令第39条第3項・告示771号)。
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参照
- 建築基準法施行令 第39条第3項(特定天井の構造規定)
- 平成25年国土交通省告示第771号(特定天井の構造方法)