告示第2464号とは?鋼材の基準強度Fと許容応力度の関係(令第90条)
ルート君
鉄骨の許容応力度って、どの告示で決まるの?
平成12年建設省告示第2464号は、鋼材等及び溶接部の基準強度Fを定めた告示です。
許容応力度そのものは令第90条が「Fの何倍か」という形で定めており、そのFの具体的な数値を構造種別・鋼種ごとに与えるのがこの告示です。
令第90条と告示第2464号はどんな関係なのか
建築基準法施行令 第90条(鋼材等の許容応力度)/平成12年建設省告示第2464号
鋼材等の許容応力度は、令第90条の表により基準強度Fを用いて定める。長期に生ずる力に対する許容引張・圧縮・曲げ応力度はF/1.5、長期の許容せん断応力度はF/(1.5√3)とする。短期はそれぞれ長期の1.5倍とする。基準強度Fの数値は、鋼材等及び溶接部について平成12年建設省告示第2464号(「鋼材等及び溶接部の許容応力度並びに材料強度の基準強度を定める件」)が定める。
つまり「許容応力度の決め方(Fの何倍か)」は令第90条が、「Fそのものの数値」は告示第2464号が分担しています。両者はセットで使います。
| 応力の種類 | 長期許容応力度 | 短期許容応力度 |
|---|---|---|
| 引張・圧縮・曲げ | F/1.5 | 長期の1.5倍(=F) |
| せん断 | F/(1.5√3) | 長期の1.5倍(=F/√3) |
主な鋼材の基準強度Fはいくつか(告示第2464号)
基準強度Fは鋼種と板厚によって決まります。一般的な建築構造用鋼材の代表値は次のとおりです。
| 鋼種(厚さ区分) | 基準強度F |
|---|---|
| SS400・SN400・SM400 等(厚さ40mm以下) | 235 N/mm² |
| SN400B 等(厚さ40mm超〜100mm以下) | 215 N/mm² |
| SN490・SM490 等(厚さ40mm以下) | 325 N/mm² |
同じ鋼種でも板厚が厚くなると基準強度Fは小さく(厳しく)なります。厚い鋼板ほど降伏点が下がる傾向を反映したものです。
基準強度から許容応力度を計算するとどんな数値になるのか
上のF値を令第90条の式(長期=F/1.5、長期せん断=F/(1.5√3))に当てはめると、次の数値になります。
| 鋼種 | 長期 引張・圧縮・曲げ | 長期 せん断 |
|---|---|---|
| SS400・SN400B(厚さ40mm以下、F=235) | 156 N/mm²(≒235/1.5) | 90 N/mm²(≒156/√3) |
| SN400B(厚さ40mm超〜100mm以下、F=215) | 143 N/mm² | 83 N/mm² |
| SN490B(厚さ40mm以下、F=325) | 217 N/mm² | 125 N/mm² |
短期はこれらの1.5倍です(上限は降伏点)。たとえばSS400の短期許容引張応力度は156×1.5=235N/mm²(=F)、短期せん断は90×1.5=135N/mm²となります。具体的な部材設計での使い方は鉄骨造の許容応力度を参照してください。
許容応力度と材料強度は何が違うのか
告示第2464号は、許容応力度だけでなく材料強度の基準強度も定めています。材料強度は保有水平耐力計算などの終局時の計算で用いる強度です。
材料強度は基準強度Fそのものを用います。さらに、JISに適合する炭素鋼・異形鉄筋等では、材料強度の算定にあたりFを1.1倍まで割り増すことができます(ただし短期の許容応力度の算定では1.1倍の割増しは行いません)。この「材料強度は1.1倍可・短期許容応力度は不可」という区別が問われやすいところです。
なぜ基準強度を告示で定めるのか
令第90条の条文は「Fの何倍」という枠組みだけを定め、Fの具体値は条文本文に書いていません。
鋼材の規格(JIS)は新しい鋼種の追加や改定が随時行われるため、個々の鋼種の基準強度を法律本体ではなく告示に委ねることで、規格の動きに合わせて機動的に更新できるようにしています。
このため、鉄骨の許容応力度を確認するときは「令第90条+告示第2464号」をセットで参照することになります。
試験で問われやすいポイント
- 許容応力度の決め方(令第90条):長期は引張・圧縮・曲げ=F/1.5、せん断=F/(1.5√3)、短期は長期の1.5倍。基準強度Fの数値は告示第2464号が定める。
- 主な基準強度F:SS400・SN400(厚さ40mm以下)=235、SN490=325(N/mm²)。板厚が40mmを超えるとFは小さくなる(SN400Bの厚物で215)。SS400の長期許容引張応力度は156N/mm²(235/1.5)。
- 材料強度の割増し:JIS適合の鋼材等は材料強度の算定でFを1.1倍まで割増し可。ただし短期の許容応力度の算定では1.1倍の割増しを行わない。この区別が誤答ポイント。
一問一答
Q. 鋼材の長期許容引張応力度・長期許容せん断応力度は、基準強度Fを用いてどう表されるか(令第90条)。
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A. 長期許容引張・圧縮・曲げ応力度=F/1.5、長期許容せん断応力度=F/(1.5√3)。短期はいずれも長期の1.5倍。Fの具体値(SS400=235等)は平成12年建設省告示第2464号が定める。
Q. SS400(厚さ40mm以下)の長期許容引張応力度はおよそ何N/mm²か。
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A. 約156N/mm²。SS400の基準強度F=235N/mm²を令第90条のF/1.5に当てはめて 235/1.5≒156。長期許容せん断応力度は156/√3≒90N/mm²。短期はそれぞれ1.5倍。
Q. 告示第2464号で、材料強度の算定における基準強度Fの1.1倍割増しは、短期の許容応力度の算定にも適用してよいか。
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A. 適用しない。JIS適合の鋼材等では材料強度の算定でFを1.1倍まで割り増せるが、短期の許容応力度の算定では1.1倍の割増しを行わない。「材料強度は1.1倍可・短期許容応力度は不可」という区別に注意する。
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参照
- 建築基準法施行令 第90条(鋼材等の許容応力度)
- 建築基準法施行令 第96条(鋼材等の材料強度)
- 平成12年建設省告示第2464号(鋼材等及び溶接部の許容応力度並びに材料強度の基準強度を定める件)