鉄骨造の許容応力度とは?SS400・SN490の数値と座屈低減係数(令第90条)

ルート君

鉄骨造の許容応力度って、どんな数値を使うの?

鉄骨造の許容応力度は、鋼材の種別(SS400・SN490等)と長期・短期の区分によって数値が定められています。

鉄骨造の許容応力度は令第90条に、鋼材の基準強度Fは平成12年建設省告示第2464号に定められています。

鋼材の種類(SS400・SN400・SN490等)と応力の種類(引張・圧縮・曲げ・せん断)によって数値が異なります。

鋼材の基本許容応力度はどんな数値か(令第90条)

鋼材種別 降伏点Fy (N/mm²) 長期許容引張・圧縮・曲げ応力度 長期許容せん断応力度
SS400・SN400A・SN400B(厚さ40mm以下) 235 156 N/mm²(≒ Fy/1.5) 90 N/mm²(≒ Fy/(√3×1.5))
SN490B(厚さ40mm以下) 325 217 N/mm² 125 N/mm²
SN400B(厚さ40mm超〜100mm以下) 215 143 N/mm² 83 N/mm²

短期許容応力度は、長期許容応力度の1.5倍です(上限は降伏点)。

圧縮材の許容応力度はなぜ低減されるのか

圧縮を受ける部材(柱・ブレース)では、座屈の影響を考慮して許容圧縮応力度を低減します。

低減係数νは有効細長比λに基づいて算定します(令第90条に数式が規定)。

有効細長比λ 座屈の影響 許容圧縮応力度
小(λ = 0に近い) ほぼなし 許容引張応力度と同等
中程度(λ ≈ 100) 座屈の影響あり 許容引張応力度の60〜80%程度
大(λ = 200) 座屈支配 大幅に低減(30〜40%程度)

はりの許容曲げ応力度はなぜ低減されることがあるのか

横座屈する場合は、許容曲げ応力度を横座屈低減係数νで低減します(令第90条)。

圧縮フランジが床スラブ等で十分に拘束されている場合は、横座屈を無視できます。

溶接・高力ボルトの許容応力度はどう決まるのか(令第68条)

溶接部および高力ボルト接合部の許容応力度も、令第68条および令第90条に規定されています。

高力ボルト(F10T・M22)の長期摩擦力は45kN/本(1面せん断)が目安です(令第90条)。

なぜ圧縮材の許容応力度は引張材より低く設定されているのか

引張材は断面全体が有効に使えますが、圧縮材は「座屈(部材が横に逃げる現象)」により、応力が材料の降伏点に達する前に崩壊することがあります。

細長い部材ほど座屈しやすく、有効細長比λが大きいほど許容圧縮応力度が大幅に低減されます。

同じ理由で、圧縮フランジが拘束されていないはりは「横座屈」を起こします。

これが許容曲げ応力度を低減する理由です。

鉄骨造の許容応力度設計では引張・圧縮・曲げを個別に評価する必要があり、圧縮と曲げは実際の崩壊形態(座屈)を考慮した制限値を使います。

試験で問われやすいポイント

  • SS400(SN400A等)の基本許容応力度(令第90条・令第90条):長期許容引張・圧縮・曲げ=156N/mm²(≒Fy/1.5=235/1.5≒157)、長期許容せん断=90N/mm²(≒Fy/(√3×1.5)=156/√3≒90)。短期は長期の1.5倍(上限は降伏点)。
  • 圧縮材の座屈低減(令第90条):有効細長比λが大きいほど許容圧縮応力度が大幅に低減される。λ≈200(有効細長比の上限)では許容圧縮応力度が許容引張応力度の30〜40%程度まで下がる。
  • 令和6年 学科3 問13(選択肢4誤):突合せ溶接の短期せん断許容応力度は基準強度/√3(長期は基準強度/(1.5√3))。長期と短期の区別が問われた(問題文が「短期」なのに「長期の式」を選択肢として提示)。

一問一答

Q. SS400(厚さ40mm以下)の長期許容引張応力度と長期許容せん断応力度はそれぞれいくつか(令第90条)。

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長期許容引張応力度=156N/mm²(≒Fy/1.5=235/1.5)、長期許容せん断応力度=90N/mm²(≒156/√3)。短期はそれぞれ235N/mm²(Fy)・135N/mm²(≒90×1.5)(令第90条・令第90条)。

Q. 有効細長比が大きい圧縮材(柱・ブレース)の許容圧縮応力度は、許容引張応力度と比べてどうなるか。

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座屈低減係数νにより、有効細長比λが大きいほど許容圧縮応力度が引張応力度より小さくなる。λ=200(有効細長比の上限)では許容圧縮応力度は大幅に低減され引張の30〜40%程度になる(令第90条)。

Q. F10TのM22高力ボルト(1面摩擦接合)の長期許容摩擦力の目安はいくつか。2面せん断では?

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1面せん断=45kN/本、2面せん断=90kN/本(令第90条の目安値)。ボルト1本当たりの許容摩擦力は摩擦面数に比例するため、2面では1面の2倍となる。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第90条(鉄骨造の許容応力度)
  • 平成12年建設省告示第2464号(鋼材等の基準強度)

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ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。