工作物の構造規定とは?擁壁・煙突・広告塔への準用と規模(法第88条・令第138条)

ルート君

擁壁や広告塔も、建物と同じ構造のルールがかかるの?

擁壁・煙突・広告塔などの工作物は建築物ではありませんが、一定規模を超えるものには、法第88条によって建築物の構造規定(法第20条等)が準用されます。

どの工作物が対象になるか(規模)は令第138条が定め、その構造計算の基準は平成12年建設省告示第1449号が定めています。

法第88条は工作物に何を準用するのか

建築基準法 第88条第1項(工作物への準用)

煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの及び昇降機等については、法第20条(構造耐力)等の規定を準用する。

つまり工作物そのものは「建築物」ではないものの、構造の安全に関わる規定は建築物に準じてかかります。準用される工作物の範囲(政令で指定するもの)が令第138条です。

令第138条で指定される工作物と規模はどれか

工作物(令第138条第1項) 規模(これを超えるもの)
煙突(支枠・支線を含む。ストーブの煙突を除く) 高さ6m
鉄筋コンクリート造の柱・鉄柱・木柱その他これらに類するもの(旗ざおを除く) 高さ15m
広告塔・広告板・装飾塔・記念塔その他これらに類するもの 高さ4m
高架水槽・サイロ・物見塔その他これらに類するもの 高さ8m
擁壁 高さ2m

「煙突6m・柱15m・広告塔4m・高架水槽8m・擁壁2m」という高さの数値が、準用の対象かどうかを分ける目安になります。

昇降機や遊戯施設も対象になるのか(令第138条第2項)

令第138条第2項では、観光用のエレベーター・エスカレーター、ウォーターシュート、コースター、メリーゴーラウンド、観覧車のように人を乗せて運行する遊戯施設等も指定の対象としています。

これらは構造耐力だけでなく、安全装置や定期検査など別の規定も関わります。

工作物の構造はどう確かめるのか(令第139条〜・告示第1449号)

指定された工作物の具体的な構造方法は、令第139条以降(煙突・鉄筋コンクリート造の柱等・広告塔・高架水槽・擁壁・昇降機等)にそれぞれ定められています。

構造計算が必要な工作物については、その計算の基準を平成12年建設省告示第1449号(「煙突、鉄筋コンクリート造の柱等、広告塔又は高架水槽等及び擁壁並びに乗用エレベーター又はエスカレーターの構造計算の基準を定める件」)が定めています。

擁壁については、建築基準法のほか宅地造成及び特定盛土等規制法(宅造法)の規制が別途かかる場合があり、所管行政庁での確認が必要です。

なぜ工作物にも構造規定がかかるのか

煙突や広告塔、擁壁は建築物ではありませんが、倒壊・崩壊すれば人身や周囲の建物に重大な被害を与えます。

とくに高さのある工作物や擁壁は、地震・風・土圧によって不安定になりやすいため、建築物に準じた構造の安全確認を求める必要があります。

そこで法第88条は、政令で規模を限って指定した工作物に、建築物の構造規定を準用する仕組みをとっています。

試験で問われやすいポイント

  • 工作物への構造規定の準用は法第88条、指定する工作物の規模は令第138条。工作物は「建築物」ではないが構造規定が準用される点を押さえる。
  • 令第138条第1項の規模(超えるもの):煙突6m・鉄筋コンクリート造の柱等15m・広告塔等4m・高架水槽等8m・擁壁2m。数値の取り違えに注意。
  • 工作物の構造計算の基準は告示第1449号。第2項では観光用エレベーター・コースター・観覧車等の遊戯施設も指定対象。擁壁は宅造法の規制も別途かかる場合がある。

一問一答

Q. 工作物に建築物の構造規定が準用される根拠と、対象工作物の規模を定める規定はそれぞれ何か。

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A. 準用の根拠は法第88条、対象工作物の指定(規模)は令第138条。工作物は建築物ではないが、令第138条で指定されたものには法第20条(構造耐力)等が準用される。

Q. 令第138条第1項で、構造規定が準用される擁壁・煙突・広告塔・高架水槽・鉄筋コンクリート造の柱の規模(高さ)はそれぞれいくらを超えるものか。

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A. 擁壁=高さ2m超、煙突=6m超、広告塔(広告板・装飾塔・記念塔等)=4m超、高架水槽(サイロ・物見塔等)=8m超、鉄筋コンクリート造の柱(鉄柱・木柱等)=15m超。

Q. 観光用のエレベーターやコースター、観覧車は工作物として構造規定の対象になるか。

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A. なる。令第138条第2項により、人を乗せて運行する昇降機・遊戯施設(乗用エレベーター・エスカレーター、ウォーターシュート、コースター、メリーゴーラウンド、観覧車等)が指定の対象とされ、法第88条により規定が準用される。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。擁壁等は他法令(宅地造成及び特定盛土等規制法等)の規制が別途かかる場合があります。

参照

  • 建築基準法 第88条(工作物への準用)
  • 建築基準法施行令 第138条(工作物の指定)
  • 建築基準法施行令 第139条〜第144条の2の3(煙突・RC造の柱等・広告塔・高架水槽・擁壁・昇降機等の構造)
  • 平成12年建設省告示第1449号(煙突、鉄筋コンクリート造の柱等、広告塔又は高架水槽等及び擁壁並びに乗用エレベーター又はエスカレーターの構造計算の基準を定める件)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。