建築物の維持保全とは?所有者の努力義務と維持保全計画(法第8条)

ルート君

建物を建てたあと、ちゃんと維持する義務って誰にあるの?

建築物の所有者・管理者・占有者は、その建築物の敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければなりません(法第8条)。

これは、完成した建築物の安全を長期にわたって保つための基本的なルールで、定期報告是正措置の前提となる考え方です。

維持保全とは何か(法第8条)

内容
第1項(努力義務) 建築物の所有者・管理者・占有者は、その建築物の敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない
第2項(計画の作成) 一定の建築物の所有者・管理者は、常時適法な状態に維持するため、必要に応じて維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない

建築基準法 第8条(維持保全)の骨子

第1項 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
第2項 次の各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。

誰にどんな義務があるのか

維持保全の義務は、対象となる人と建築物によって性質が異なります。

対象 義務の性質
すべての建築物の所有者・管理者・占有者(第1項) 常時適法な状態に維持する努力義務
政令で定める重要な特殊建築物等・特定行政庁が指定する建築物の所有者・管理者(第2項) 維持保全の準則・計画を作成する等の義務

第2項の対象は、安全上・防火上・衛生上特に重要な特殊建築物などで、これらは管理体制を明確にして計画的に維持保全を行うことが求められます。維持保全計画の対象は、過去の事故や火災を踏まえて見直されてきました。

維持保全・定期報告・是正措置はどうつながるのか

建築物の「完成後の安全」は、次の3つの仕組みが連携して支えています。

段階 内容
維持保全(法第8条) 所有者等が、常時適法な状態に維持する(日常的な点検・修繕の基礎)
定期報告(法第12条) 一定の建築物で、有資格者の定期調査・検査の結果を特定行政庁に報告する
是正措置(法第9条・第10条) 違反や著しく危険な状態に対し、特定行政庁が是正・勧告・命令を行う

維持保全は、これらの出発点です。所有者が日常的に建築物を適法な状態に保つことが基本にあり、それを補うために定期報告で専門家が確認し、問題があれば是正措置がとられる、という関係になっています。

構造の維持保全とは何をすることか

構造の維持保全では、構造耐力上主要な部分の劣化や損傷を早期に発見し、適切に対応します。具体的には、外壁・柱・はりのひび割れや剥落、鉄骨のさび、木部の腐朽、基礎まわりの沈下などを点検し、必要に応じて補修・補強を行います。

こうした劣化への備えは、設計段階の構造部材の耐久(令第37条)のさび止め・防腐の措置とあわせて、建築物の構造安全を長期にわたって確保する両輪です。耐震性が不足する既存建築物については、耐震診断・耐震改修もあわせて検討されます。

試験で問われやすいポイント

  • 維持保全は法第8条。第1項は所有者・管理者・占有者の努力義務(敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に維持)。
  • 第2項:一定の建築物(重要な特殊建築物等)の所有者・管理者は、維持保全に関する準則・計画を作成する等の措置を講じる。
  • 維持保全(法第8条)→ 定期報告(法第12条)→ 是正措置(法第9条・第10条)という、完成後の安全を支える仕組みの出発点。
  • 構造の維持保全は、躯体のひび割れ・さび・腐朽・沈下等の点検と補修。設計時の構造部材の耐久(令第37条)とあわせて長期の構造安全を確保する。

一問一答

Q. 維持保全(法第8条)の義務は誰にあるか。

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A. 第1項では建築物の所有者・管理者・占有者が、敷地・構造・建築設備を常時適法な状態に維持する努力義務を負う。第2項では一定の建築物(重要な特殊建築物等)の所有者・管理者が、維持保全の準則・計画を作成する等の措置を講じる。

Q. 維持保全と定期報告・是正措置はどう違うか。

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A. 維持保全(法第8条)は所有者等が日常的に適法な状態に保つ基礎。定期報告(法第12条)は有資格者が定期に調査・検査して特定行政庁に報告する制度。是正措置(法第9条・第10条)は違反・危険な状態に特定行政庁が命令等を行う仕組み。維持保全がその出発点となる。

Q. 構造の維持保全では何をするか。

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A. 構造耐力上主要な部分の劣化(ひび割れ・剥落・さび・腐朽・沈下等)を点検し、必要に応じて補修・補強する。設計時の構造部材の耐久(令第37条)の措置とあわせて、長期にわたる構造安全を確保する。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。維持保全計画の対象建築物は政令・特定行政庁の指定により異なり、改正で見直される場合があります。具体的な該当性は所管の特定行政庁でご確認ください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。

参照

  • 建築基準法 第8条(維持保全)
  • 建築基準法 第12条(定期報告)/第9条・第10条(是正・危険な建築物への措置)
  • 建築基準法施行令 第37条(構造部材の耐久)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。