木造の耐力壁・筋かいとは?壁倍率・必要壁量の算定方法(令第45条・第46条)

ルート君

木造の耐震性って、壁量でどう確認するの?

木造の筋かいと耐力壁は令第45条・第46条に規定され、壁倍率と必要壁量の計算で耐震性を確認します。

木造の水平力抵抗は、耐力壁(令第46条)と筋かい(令第45条)によって確保されます。

詳細な規定は令第40条〜第50条の木造仕様規定の一部です。

必要壁量の算定と有効壁量の比較が、木造の耐震設計の基本です。

筋かいの断面と端部はどう規定されているのか(令第45条)

筋かいは木造軸組の水平力を負担する重要な部材です。

令第45条に断面と端部の規定があります。

筋かいの種類 最小断面 壁倍率(参考値) 根拠
引張筋かい(片筋かい・木材) 1.5cm×幅9cm以上(または径9mm以上の鉄筋) 1.0 令第45条第1項・告示1460号
圧縮筋かい(片筋かい・木材) 3cm×幅9cm以上 1.5 令第45条第2項・告示1460号
厚4.5cm×幅9cmの筋かい 4.5cm×幅9cm以上 2.0 告示1460号
たすき掛け(同種を両方向に2本) 同種の筋かいを2本配置 片筋かいの2倍(上限5.0) 告示1460号

筋かいの端部は、柱とはりその他の横架材との仕口に接近してボルト・かすがい・くぎ等で緊結することが令第45条第3項に定められています(筋かいへの欠込みは原則禁止=第4項)。

必要壁量はどうやって算定するのか(令第46条第4項)

各階・各方向の必要壁量は、地震力用と風圧力用のいずれか大きい値を採用します。

用途 算定式 根拠
地震力用 各階の床面積(m²)×係数 令第46条第4項表三
風圧力用 各階の見付面積(m²)×係数 令第46条第4項表四

R7.4.1改正(2025年4月施行)

2025年4月施行の改正により、令第46条の壁量算定方式が全面改正されました。

「軽い屋根・重い屋根」の区分が廃止され、建物重量から直接算出する新方式になっています。

下記の係数値は改正前の参考値です。

(参考:改正前・令第46条第4項表三 地震力用係数の例)

  • 1階(重い屋根・2階建):33 cm/m²
  • 2階(重い屋根):21 cm/m²

改正後の係数は現行令第46条の規定によります。

令第46条改正後の必要壁量算定方式(算定式と荷重Wiの算定イメージ)は、国土交通省の制度説明資料(下図)に整理されています。

国土交通省 建築基準法・建築物省エネ法改正法制度説明資料(令和6年9月) 仕様の実況に応じた必要壁量の算定方法への見直し
出所:国土交通省「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料」(令和6年9月)p.30 仕様の実況に応じた必要壁量の算定方法への見直し(算定式・荷重Wi算定イメージ)。

有効壁量はどうやって算定するのか

有効壁量は、各耐力壁の壁倍率×有効壁長(cm)の合計で算定します。

耐力壁の種類 壁倍率(最大値) 根拠
厚さ9cm以上の土塗り壁 0.5倍 告示1460号
構造用合板(厚さ5mm以上) 2.5倍 告示1460号
筋かい4.5cm×9cm(圧縮) 2.0倍 告示1460号
合計の上限 7.0倍(R7.4.1改正後)
(改正前:5.0倍)
令第46条第4項

4分割法で何を確認するのか

令第46条第4項は、壁量だけでなく壁の配置バランスも求めています。

建物の平面を4分割して各区画の壁量充足率を比較する「4分割法」で、偏りがないことを確認します(充足率の最小値/最大値≧0.5が目安)。

なぜ壁量の多さだけでなく配置バランスも規定されているのか

地震力は建物全体に均等に作用しますが、壁が偏っていると剛心と重心がずれて建物がねじれます。

壁量計算で必要壁量を満たしていても、4分割法の配置確認に不合格であれば令第46条に適合しません。

壁量と配置の両方を満たすことが要件です。

壁倍率の上限はなぜ設けられているのか

壁倍率に上限(現行7.0倍・令第46条)が設けられているのは、過剰な壁倍率で設計した場合に接合部や基礎へ集中する力が想定を超えるリスクがあるためです。

高壁倍率の仕様は変形追従性(靭性)が低い場合があり、上限を設けることで脆性的な破壊を防いでいます。

2025年4月改正(R7.4.1施行)では上限が5.0倍から7.0倍に引き上げられました。

新たな試験データにより高壁倍率でも安全性が確認できる仕様が整備されたことによる改正です。

試験で問われやすいポイント

  • 令和4年 学科4 問80(選択肢2誤):筋かい壁倍率2.5と合板壁倍率4.7の合計7.2は誤り。複数仕様の壁倍率合算には上限がある(現行7.0倍・令第46条)。重ね合わせの上限値は試験で繰り返し問われる。
  • 平成28年 学科4 問80(選択肢1誤):地震力で必要壁量が決まる場合、張り間方向とけた行方向の必要壁量は同じ値。方向によって異なるのは風圧力の場合(見付面積×係数)。
  • 筋かい断面と壁倍率の対応(断面=令第45条/壁倍率=令第46条第4項表・昭和56年告示第1100号):引張1.5cm×9cm=壁倍率1.0・圧縮3cm×9cm=壁倍率1.54.5cm×9cm=壁倍率2.0・たすき掛けはそれぞれ2倍(上限5.0)。断面値と壁倍率はセットで暗記する。
  • 4分割法による壁配置確認(令第46条第4項):各側端部分の壁量充足率(存在壁量÷必要壁量)を比較し、偏りがないか確認する。充足率の最小値/最大値≧0.5が目安。

一問一答

Q. 筋かい(壁倍率2.5)と構造用合板(壁倍率4.7)を同一壁に重ね合わせた場合、有効壁量算定に用いる壁倍率はいくつか(令第46条)。

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7.0倍(現行・R7.4.1施行以降)。2.5+4.7=7.2となるが、上限7.0倍を超えるため7.0倍として算定する(令第46条)。(令和4年 問80 選択肢2誤の根拠)

Q. 木造の引張筋かい(片筋かい)の最小断面寸法と壁倍率を答えよ(断面=令第45条/壁倍率=昭和56年告示第1100号)。

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1.5cm×幅9cm以上・壁倍率1.0(または径9mm以上の鉄筋)。圧縮筋かいは厚3cm×幅9cm以上・壁倍率1.5、厚4.5cm×幅9cmなら壁倍率2.0。たすき掛けは片筋かいの2倍(上限5.0)。

Q. 地震力による必要壁量が決まる場合、平面が長方形の建物の張り間方向とけた行方向の必要壁量に差はあるか(令第46条)。

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差はない(同じ値)。地震力の必要壁量は床面積×係数で算定するため方向に依存しない。方向によって異なるのは風圧力(見付面積×係数)の場合。(平成28年 問80 選択肢1誤・令和4年 問80 選択肢3正の根拠)

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第45条(木造筋かいの規定)
  • 建築基準法施行令 第46条(木造耐力壁の規定)
  • 昭和56年建設省告示第1100号(木造耐力壁の種類・壁倍率)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。