木造のアンカーボルトとは?土台緊結とN値による接合金物の選定(令第42条〜第44条)

ルート君

木造のアンカーボルトって、どんなルールがあるの?

木造のアンカーボルトは令第42条(緊結義務)と告示第1460号に規定され、土台を基礎に緊結するために耐力壁の両端の柱の下部・土台の継手や仕口箇所、その他は2.7m以内ごとに設置します。

令第42条〜令第44条に、土台・アンカーボルト・の接合に関する規定が定められています。

木造軸組では基礎と土台・土台と柱の緊結が地震時の引き抜きに抵抗します。

土台と基礎はどう緊結しなければならないのか(令第42条)

令第42条は、木造建築物の土台に関する規定です。

項目 規定内容 根拠
土台の設置・基礎への緊結 土台は基礎に緊結する(平家建て・延べ面積50㎡以内の場合を除く) 令第42条第1項・第2項
緊結の方法 アンカーボルト等で基礎に緊結する(土台の断面寸法は令第42条には定めがなく、実務では柱と同寸法程度) 令第42条第2項
アンカーボルトの配置 耐力壁の両端の柱の下部・土台の継手や仕口箇所、その他の部分は2.7m以内ごとに設置 告示第1460号(令第42条)

アンカーボルトの径と埋め込み長さはどう定められているのか

アンカーボルトの径・埋め込み長さ・配置の仕様は告示(平成12年建設省告示第1460号)に規定されています。

項目 一般的な仕様
ボルト径 M12以上(地震力・引き抜き力に応じて選定)
基礎への埋め込み長さ 250mm以上(布基礎・べた基礎ともに)
土台への座金・ナット締め 40mm×40mm以上の座金で固定

柱の引き抜きへの対応はどうするのか(令第47条・N値計算)

地震時に柱には引き抜き力が作用します。

令第47条(継手・仕口の緊結)の委任を受けた告示第1460号に基づき、N値計算で引き抜き力を算出し、接合金物の種類を選定します。

N値の範囲 必要な接合金物の目安
N ≦ 0 短ざく金物またはひねり金物(引き抜きなし)
0 < N ≦ 1.0 15kN対応金物(山形プレート・ホールダウン等)
1.0 < N ≦ 2.0 25kN対応金物
N > 2.0 40kN対応金物以上(ホールダウン金物)

柱脚・柱頭の接合金物はどう選定するのか(令第47条・告示第1460号)

柱頭・柱脚の接合は、令第47条(構造耐力上主要な部分である継手・仕口の緊結)とその委任を受けた告示第1460号に基づきます(令第43条は柱の小径、令第44条は横架材の欠込みの規定で、接合金物の規定ではありません)。

地震時の柱引き抜きに対応するため、柱脚・柱頭は告示(平成12年建設省告示第1460号)に定める接合金物または同等の方法で緊結します。

なぜアンカーボルトに位置条件と間隔条件の両方が必要なのか

告示第1460号(令第42条)が「耐力壁の両端の柱の下部・土台の継手や仕口箇所」(位置条件)と「その他は2.7m以内ごと」(間隔条件)の両方を求めているのは、それぞれ異なる荷重に対応するためです。

位置条件は地震時に引き抜き力が集中する箇所への対応で、間隔条件は土台全体を均等に固定するための補完的な規定です。

どちらか一方だけでは地震時の挙動に対応できないため、両方を同時に満足させます。

N値計算の「N値」と地盤のN値は何が違うのか

柱接合金物の選定に使う「N値」は、木造の柱頭・柱脚の引き抜き力を表す無次元の計算値で、地盤調査で使うN値(標準貫入試験の打撃回数)とは全く別のものです。

木造の柱接合のN値は、柱に隣接する筋かいの引き抜き方向の耐力と圧縮方向の耐力の差から算定されます。

N値が大きいほど引き抜き力が大きく、40kN以上のホールダウン金物が必要になります。

N≦0(引き抜きが生じない)でも短ざく金物等による最低限の固定は必要です。

試験で問われやすいポイント

  • アンカーボルトの配置(告示第1460号・令第42条):①耐力壁の両端の柱の下部・土台の継手や仕口箇所(位置条件)と②その他は2.7m以内ごと(間隔条件)の両方が必要。どちらか一方のみを守っても不足。
  • 土台と基礎の緊結(令第42条):原則アンカーボルト等で緊結。ただし平家建て・延べ面積50㎡以内は緊結不要(令第42条ただし書き)。土台の断面寸法は令第42条には定めがない(実務では柱と同寸法程度)。
  • N値計算による柱頭・柱脚の接合(令第47条・告示第1460号):N値の大きさに応じた接合金物を選定する。N≦0でも最低限の金物(短ざく等)が必要であり、無緊結は不可。
  • 柱の引き抜きに対応する接合金物は、ホールダウン金物(大きな引き抜き力対応)→山形プレート→短ざく金物等の順に耐力が増す。N>2.0の場合は40kN以上のホールダウン金物が必要。

一問一答

Q. アンカーボルトの設置間隔の上限は何mか(告示第1460号)。また、間隔条件だけ満たせば足りるか。

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その他の部分は最大2.7m以内ごとに設置する(間隔条件)。間隔だけでは足りず、耐力壁の両端の柱の下部・土台の継手や仕口箇所への配置(位置条件)も別途満足する必要がある。

Q. 木造のN値計算でN≦0と算定された柱には、接合金物が不要か(令第47条・告示第1460号)。

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不要ではない。N≦0(引き抜きが生じない)でも最低限の接合金物(短ざく金物・ひねり金物等)で柱頭・柱脚を固定することが必要。無緊結は不可。

Q. 木造の土台の断面寸法は令第42条で定められているか。

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令第42条には土台の断面寸法の規定はない。土台は柱から伝わる荷重を基礎に伝えるため、実務では柱と同寸法程度(105角等)が用いられる。令第42条が定めるのは土台を基礎に緊結すること(平家建て・延べ面積50㎡以内は除く)。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第42条(木造の土台・基礎の緊結)
  • 建築基準法施行令 第43条(柱の小径)
  • 建築基準法施行令 第47条(継手・仕口の緊結)
  • 平成12年建設省告示第1460号(木造の継手・仕口の構造方法・接合金物・N値)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。