耐力壁とは?RC造・木造の仕様規定の比較(令第78条の2・令第46条)
ルート君
耐力壁って、何を決めてる規定なの?
耐力壁の仕様規定は、木造では令第46条、RC造では令第78条の2にそれぞれ定められています。
耐力壁は、水平力(地震力・風圧力)と鉛直力の両方を伝達する壁です。
構造種別によって規定条文が異なり、RC造は令第78条の2、鉄骨造は令第66条、木造は令第46条に規定されています。
RC造の耐力壁はどう規定されているのか(令第78条の2)
RC造の耐力壁は令第78条の2に規定されています。配筋規定の中でも特に壁筋比が柱の帯筋比より高く設定されています。
建築基準法施行令 第78条の2(耐力壁)
鉄筋コンクリート造の耐力壁は、次の各号に定める構造としなければならない。一 厚さは、12cm以上とし、かつ、当該耐力壁の内法高さの1/30以上とすること。二 各階の耐力壁に配置する鉄筋の間隔は、縦横に30cm以下としなければならない。三 各階の耐力壁の鉄筋比は、縦横に0.25%以上としなければならない。(以下略)
| 項目 | 規定内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 壁厚さ | 12cm以上 | 令第78条の2第一号 |
| 縦横の鉄筋間隔 | 30cm以下 | 令第78条の2第二号 |
| 壁筋比(縦・横それぞれ) | 0.25%以上(告示に規定) | 令第78条の2第三号・告示 |
| 周囲の柱・はりへの緊結 | 緊結が必要(壁筋をフック付きで定着) | 令第78条の2第四号 |
| 開口部周辺の補強 | 斜め補強筋等が必要 | 令第78条の2第五号 |
鉄骨造の耐力壁はどう設計するのか(令第66条)
鉄骨造の耐力壁は、斜材・水平材・筋かいを用いたブレースが主体です。
令第66条は柱脚部の緊結規定であり、鉄骨造の水平力抵抗は筋かい(ブレース)や耐震壁の形式による場合が多くなります。
| 形式 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 筋かい(ブレース) | 圧縮・引張ともに有効な断面設計が必要 | 令第68条・令第69条 |
| 耐震壁(RC造壁を併用) | 構造計算で確認が必要 | 令第82条以降 |
木造の耐力壁はどう規定されているのか(令第46条)
木造の耐力壁は令第46条に規定されています。
各階・各方向に対して、地震力用と風圧力用の必要壁量を床面積・見付面積から算出し、有効壁量が上回ることを確認します。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 必要壁量(地震用) | 各階の床面積×係数 | 令第46条第4項 |
| 必要壁量(風圧用) | 各階の見付面積×係数 | 令第46条第4項 |
| 壁倍率 | 壁の種類ごとに0.5〜5.0倍(組合せ後の合計上限はR7.4.1改正後7.0倍) | 昭和56年告示第1100号 |
| 配置のバランス | 4分割法による偏りのチェック | 令第46条第4項 |
耐力壁の配置が偏ると構造計算にどう影響するのか
耐力壁の配置が偏っていると、剛性率・偏心率が基準値を超える場合があります。
ルート2以上の計算では、令第82条の6第二号に基づく剛性率Rs≧0.6・偏心率Re≦0.15を確認する必要があります(層間変形角1/200は令第82条の2)。
なぜRC造耐力壁の壁筋比は帯筋比より高いのか
RC造の耐力壁の壁筋比(0.25%以上)は、柱の帯筋比(0.2%以上)より高く設定されています。
耐力壁は建物の地震力・風圧力に対する主要な水平抵抗要素であり、地震時に大きなせん断力を直接受けます。
より高い配筋比を確保することで、耐力壁のせん断耐力と変形能力を高めています。
耐力壁が多すぎても問題になる場合はあるのか
耐力壁の絶対量よりも「配置バランス」が問題になります。
耐力壁が一方向に偏ると偏心率(Re)が高くなり地震時に建物がねじれます。
偏心率Re > 0.15の場合はルート2以上で形状係数Fesが割り増しになり保有水平耐力の要求値が上がります。木造の4分割法も同様に、配置の均等性を直接確認する規定です。
壁量と配置バランスの両方を満たすことが求められています。
試験で問われやすいポイント
- RC造耐力壁の壁厚(令第78条の2第一号):12cm以上 かつ 内法高さの1/30以上の2条件をともに満たすこと。「12cm以上のみ」と暗記していると内法高さ条件を見落とす。大空間では内法高さ条件が支配することがある。
- RC造耐力壁の壁筋比(令第78条の2第三号・告示):縦・横それぞれ0.25%以上(柱帯筋比0.2%より高い)。耐力壁は水平力に対する主要な抵抗要素であるため配筋比が高く設定されている。
- RC造耐力壁の配筋間隔(令第78条の2第二号):縦・横ともに30cm以下。柱帯筋の15cm以下・梁あばら筋のd×3/4以下とは異なる数値。
- 耐力壁の偏り(剛性率・偏心率):ルート2以上の計算で剛性率Rs≧0.6・偏心率Re≦0.15を満足しなければならない(令第82条の6第二号)。耐力壁の配置バランスが剛性率・偏心率に直接影響する。
一問一答
Q. RC造耐力壁の壁厚の規定を答えよ(令第78条の2第一号)。
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12cm以上 かつ 内法高さの1/30以上の2条件をともに満たすこと(令第78条の2第一号)。2条件のうち大きいほうが支配する。
Q. RC造耐力壁の壁筋比と、柱の帯筋比はそれぞれ何%以上か(令第78条の2・令第77条)。
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RC造耐力壁の壁筋比(縦・横それぞれ)は0.25%以上(令第78条の2第三号)。柱の帯筋比は0.2%以上(令第77条第四号)。耐力壁のほうが0.25%と大きい。
Q. RC造耐力壁の縦横の配筋間隔の上限は何cmか(令第78条の2第二号)。
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30cm以下(令第78条の2第二号)。柱の帯筋間隔(15cm以下)や梁のあばら筋間隔(d×3/4以下かつ30cm以下)とは異なる。
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参照
- 建築基準法施行令 第46条(木造耐力壁)
- 建築基準法施行令 第66条(鉄骨造柱脚)
- 建築基準法施行令 第78条の2(RC造耐力壁)
- 昭和56年建設省告示第1100号(木造耐力壁の種類・壁倍率)