ルート2(鉄骨造)とは?幅厚比FAランクと有効細長比の確認(令第82条の6)

ルート君

ルート2の鉄骨造って、何を特別に確認するの?

ルート2(鉄骨造)では、幅厚比区分(FAランク)と有効細長比の確認が追加されます。

鉄骨造のルート2(許容応力度等計算)では、RC造と同様の令第82条の2の3項目に加えて、鉄骨造特有の幅厚比横座屈の確認が必要です。

鉄骨造ルート2ではどんな項目を確認するのか

検討項目 基準値 鉄骨造での注意点
許容応力度計算(令第82条) 全部材で応力≦許容応力度 横座屈の低減係数・座屈低減係数を考慮する
層間変形角(令第82条の2第一号) 1/200以下 ブレース配置・接合剛性が変形に影響する
剛性率(令第82条の6第二号イ) Rs ≧ 0.6 層の水平剛性はブレースの有無で大きく変わる
偏心率(令第82条の6第二号ロ) Re ≦ 0.15 ブレース配置の偏りが偏心率を上げる
幅厚比(告示) ルート2ではFAランク FB・FC・FD区分はルート2では不可
有効細長比(令第65条) 200以下・柱以外の圧縮材250以下 令の制限は圧縮材が対象(引張材には令の制限なし)
塔状比の確認(平成19年国交告第593号) 塔状比 ≦ 4 高さを幅で割った値が4を超える場合はルート2適用不可

ルート2での幅厚比はどう制限されるのか(FAランク)

ルート2で設計する鉄骨造では、圧縮材の幅厚比をFAランク以内に抑える必要があります。

FB・FC・FD区分はルート2では認められないため、設計段階での断面選定が重要です。

冷間成形角形鋼管柱を使う場合の柱梁耐力比(平成19年国交告第593号)

冷間成形角形鋼管柱を用いる場合、柱の曲げ耐力の和が梁の曲げ耐力の和の1.5倍以上であることを確認する必要があります(平成19年国交告第593号)。

冷間成形角形鋼管柱使用時の柱梁耐力比(平成19年国交告第593号)

ΣMpc ≧ 1.5 × ΣMpb

ΣMpc:各柱の曲げ耐力の和、ΣMpb:各梁の曲げ耐力の和

これは梁崩壊形メカニズムを確保し、柱に塑性ヒンジが形成される柱崩壊形を防ぐための要求です。また接合部は保有耐力接合(保有水平耐力接合)が必須です。

ルート2でブレースを設計するときに注意することは何か

ブレース(筋かい)を採用する場合は、引張・圧縮の両方向での検討が必要です。

引張専用ブレース(片引き)では、圧縮時の座屈を無視して設計するため、引張側のブレースに力が集中する構造となります。

この場合、剛性・耐力の評価を適切に行います。

なぜルート2ではFD区分の幅厚比が認められないのか

FD区分は最も幅厚比が大きく、局部座屈しやすい断面です。

局部座屈が生じると部材の変形能力(靭性)が大幅に低下します。

ルート2(許容応力度等計算)は塑性変形を直接評価しないため、過度に靭性の低い断面を使うことができません。

ルート3(保有水平耐力計算)ではFD区分を使用できますが、その分だけ構造特性係数Dsが大きくなり(靭性が低いことへのペナルティ)、必要保有水平耐力Qunが増大します。

ルート2でFAランクに限定することで、一定の塑性変形能力を担保しています。

試験で問われやすいポイント

  • ルート2での幅厚比区分(告示):FD区分(最大幅厚比)はルート2では不可。FAランク以内に抑える必要がある。FD区分を使う場合はルート3移行が必要(DS値増大)(平成28年 学科3 問52 選択肢4参照)。
  • ルート2でのブレース設計(令第82条の2等):地階を除き水平力を負担する筋かいの水平力分担率に応じて、地震時の応力を割り増した許容応力度計算を行う(令和3年 学科4 問88 選択肢3正)。
  • 有効細長比の上限(令第65条):柱(圧縮材)は200以下、柱以外の圧縮材(圧縮ブレース等)は250以下令第65条の制限は圧縮材が対象で、引張材には令の制限はない。(令和3年 学科4 問88 選択肢1正:ルート1-1では有効細長比確認不要)

一問一答

Q. 鉄骨造ルート2の設計でFD区分(最大幅厚比)の断面を使いたい場合、どうすればよいか。

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ルート3(保有水平耐力計算)に移行し、FD区分に対応したDS値(最大値)を用いて必要保有水平耐力を算定する。ルート2ではFD区分を採用できない(令第65条・告示)。

Q. 鉄骨造の圧縮材(柱・圧縮ブレース)と引張材の有効細長比の制限はどうなっているか(令第65条)。

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令第65条は圧縮材を対象とし、柱200以下・柱以外の圧縮材(圧縮ブレース等)250以下。引張材には令第65条の有効細長比制限はない(規準では目安あり)。令第70条は柱の防火被覆で別規定。

Q. ルート2で水平力を負担するブレース(筋かい)がある場合の設計上の特別な要求は何か。

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水平力分担率に応じて地震時の応力を割り増した許容応力度計算を行う(令第82条の2等)。これはブレースによる地震力の集中に対して安全側に設計するための要求(令和3年 学科4 問88 選択肢3正)。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第65条(圧縮材の有効細長比)
  • 告示(幅厚比・FA〜FD区分は昭和55年告示第1792号)
  • 建築基準法施行令 第82条〜令第82条の4(ルート2の計算)
  • 昭和55年建設省告示第1792号(構造特性係数Ds・幅厚比区分)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。