平成12年建設省告示第1455号とは?多雪区域の指定と垂直積雪量の算定(令第86条)

ルート君

「多雪区域」かどうかや、垂直積雪量って、どの告示で決まってるの?

平成12年建設省告示第1455号は、積雪荷重の計算で使う「多雪区域の指定基準」と「垂直積雪量の算定基準」を定めた告示です。

令第86条第2項ただし書・第3項の委任に基づき、どの区域を多雪区域とするかの判定条件と、垂直積雪量を求める式(d=α・ls+β・rs+γ)が規定されています。

告示第1455号はどんな告示なのか

項目 内容
告示番号 平成12年建設省告示第1455号
正式名称 多雪区域を指定する基準及び垂直積雪量を定める基準を定める件
公布 平成12年(2000年)5月31日
根拠条文 建築基準法施行令 第86条第2項ただし書(多雪区域の指定)・第3項(垂直積雪量)
主な内容 多雪区域を指定する基準(第1)・垂直積雪量を定める基準=算定式 d=α・ls+β・rs+γ(第2)

建築基準法施行令 第86条第2項・第3項(告示第1455号の根拠)

第2項:積雪の単位荷重は、積雪量1cmごとに1m²につき20N以上としなければならない。ただし、特定行政庁は、多雪区域を指定し、その区域につき積雪の単位荷重を別に定めることができる。
第3項:垂直積雪量は、地方の気候・風土に応じて国土交通大臣が定める基準に基づき特定行政庁が規則で定める。

多雪区域はどんな基準で指定されるのか

告示第1455号の第1は、多雪区域を指定する基準として次のいずれかに該当する区域を示しています。

区分 多雪区域の指定基準(いずれかに該当)
第一号 第2の式で求めた垂直積雪量が1メートル以上の区域
第二号 積雪の初終間日数(初冠雪から終雪までの日数)の平年値が30日以上の区域

この基準をもとに、実際にどの区域を多雪区域とするかは特定行政庁が指定します。多雪区域では積雪の単位荷重が一般区域の20N/m²(積雪1cmあたり)に対して30N/m²以上に引き上げられ、荷重の組み合わせでも積雪時の地震・風の扱いが変わります。

多雪区域そのものの考え方・単位荷重・荷重組み合わせは多雪区域とは(令第86条)の記事で解説しています。

垂直積雪量はどんな式で求めるのか

告示第1455号の第2は、垂直積雪量を次の式で求めることを定めています。

d = α・ls + β・rs + γ

記号 意味
d 垂直積雪量(単位:m)
ls 区域の標準的な標高(単位:m)
rs 区域の標準的な海率(区域の中心からの一定半径内の海面が占める面積の割合。0〜1の値)
α・β・γ 区域(地方)ごとに告示の表で定める定数

垂直積雪量は、その土地の「標高(ls)」と「海に近いかどうか(海率rs)」という2つの地理的条件から推計する仕組みになっています。係数α・β・γは地方ごとに異なり、告示の別表で区域ごとに与えられています。

標高と海率は垂直積雪量にどう影響するのか

一般に標高が高い区域ほど積雪量は多くなるため、標高lsの係数αは積雪量を増やす向きに働きます。海率rsの影響(係数β)の大きさや符号は地方によって異なり、日本海側と太平洋側など気候特性に応じて告示の表で個別に定められています。

たとえば東京都町田市が定める区域では、α=0.0005/β=-0.06/γ=0.28として垂直積雪量を算定し、特に指定する区域以外の垂直積雪量を0.33mとしています(町田市の規則による運用例)。このように、同じ告示の式でも係数と標高・海率の組み合わせによって区域ごとの垂直積雪量が決まります。

実際の垂直積雪量は誰が定めるのか

告示第1455号はあくまで「基準(式と多雪区域の判定条件)」を示すものです。建築物の設計で用いる具体的な垂直積雪量は、この基準に基づいて特定行政庁が規則で区域ごとに定めます(令第86条第3項)。

そのため、設計地の垂直積雪量は、その地域を所管する特定行政庁(都道府県・市など)の建築基準法施行細則を確認して求めるのが原則です。告示の式は、特定行政庁が区域の数値を定める際の共通の枠組みとして機能しています。

なぜこの告示が存在するのか

令第86条は積雪荷重の計算式と単位荷重の枠組みを定めていますが、「どの区域を多雪区域とするか」「垂直積雪量をどう推計するか」という具体的基準は条文本文には書かれていません。

これらの基準を定めているのが告示第1455号です。平成12年(2000年)の建基法改正(性能規定化)に伴い、それまで明確でなかった多雪区域・垂直積雪量の判定根拠が告示として整備されました。

建築士試験・実務では「令第86条+告示第1455号」がセットで参照されます。多雪区域の判定(1m・30日)と垂直積雪量の式(d=α・ls+β・rs+γ)は、この告示が根拠です。

試験で問われやすいポイント

  • 告示第1455号の正式名称と根拠条文:「多雪区域を指定する基準及び垂直積雪量を定める基準を定める件」(令第86条第2項ただし書・第3項の委任)。平成12年建設省告示(2000年性能規定化改正と同時制定)であること。
  • 多雪区域の指定基準(告示第1455号 第1):垂直積雪量が1m以上、または積雪の初終間日数の平年値が30日以上のいずれかに該当する区域。実際の指定は特定行政庁が行う。
  • 垂直積雪量の式(告示第1455号 第2):d=α・ls+β・rs+γ。lsは標準的な標高、rsは標準的な海率、α・β・γは区域ごとの定数。標高と海率から推計する点がポイント。
  • 運用:具体的な垂直積雪量は特定行政庁が規則で定める(令第86条第3項)。多雪区域の単位荷重は一般の20N/m²に対し30N/m²以上。

一問一答

Q. 平成12年建設省告示第1455号の正式名称と根拠条文は?

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A. 正式名称は「多雪区域を指定する基準及び垂直積雪量を定める基準を定める件」。根拠条文は建築基準法施行令第86条第2項ただし書(多雪区域の指定)・第3項(垂直積雪量)。多雪区域の判定基準と垂直積雪量の算定式がこの告示に定められている。

Q. 多雪区域はどんな基準で指定されるか(告示第1455号)。

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A. 垂直積雪量が1m以上の区域、または積雪の初終間日数の平年値が30日以上の区域のいずれかに該当する区域。この基準に基づき特定行政庁が多雪区域を指定する。多雪区域では積雪の単位荷重が30N/m²以上となる。

Q. 垂直積雪量はどのように求めるか(告示第1455号)。

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A. d=α・ls+β・rs+γの式で求める。lsは区域の標準的な標高(m)、rsは標準的な海率、α・β・γは区域ごとに告示の表で定める定数。これに基づき、設計で用いる具体的な垂直積雪量は特定行政庁が規則で定める(令第86条第3項)。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。法改正により内容が変わる場合があります。

参照

  • 建築基準法施行令 第86条(積雪荷重)
  • 平成12年建設省告示第1455号(多雪区域を指定する基準及び垂直積雪量を定める基準を定める件)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。