組積造の建築物とは?構造規定の数値一覧(令第51条〜第60条)
ルート君
レンガ積みの建物って、今でも建てられるの?どんな決まりがあるの?
組積造の建築物は現在でも建てられますが、令第51条〜第60条に厳しい制限が課されています。建物の高さは13m以下・軒の高さは9m以下に制限され(令第51条)、壁厚・臥梁・開口部など各部位に詳細な仕様が定められています。
建築基準法施行令 第51条(適用の範囲)
れんが造、石造、コンクリートブロック造その他の組積造(補強コンクリートブロック造を除く。以下この節において同じ。)の建築物又は組積造と木造その他の構造とを併用する建築物の組積造の構造部分については、この節の規定による。ただし、高さ13m以下であり、かつ、軒の高さが9m以下の建築物の部分で、鉄筋、鉄骨又は鉄筋コンクリートによって補強され、かつ、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって構造耐力上安全であることが確かめられたものについては、この限りでない。
組積造とはどういう構造か
組積造とは、れんが・石・コンクリートブロック等を積み上げてモルタルで固めた構造です。鉄筋を配置しないことが最大の特徴で、引張力や曲げに対して弱い構造形式です。
補強コンクリートブロック造(令第62条の2〜)は別節の規定が適用されるため、令第51条〜第60条の「組積造」には含まれません。
組積造の建築物は、現代の日本では新築されることはほとんどありませんが、既存建築物の調査・補強設計や建築士試験での出題対象として引き続き重要な位置付けです。
組積造の建築物にはどんな高さ制限があるのか(令第51条)
令第51条の本文(適用の範囲)は、組積造の建築物の高さの上限として次の2値を定めています。
| 項目 | 規定値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 建築物の高さ | 13m以下 | 令第51条 |
| 軒の高さ | 9m以下 | 令第51条 |
この数値を超える組積造の建築物を建てることは、原則として認められません。鉄筋・鉄骨等で補強し構造計算を行った場合は適用除外となりますが、現実には高さ13m超の組積造建築物の新築事例は極めて稀です。
壁の施工はどう定められているのか(令第52条)
令第52条は組積造の施工方法を規定しています。れんが・石・コンクリートブロック等を積む際は、目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積しなければなりません。モルタルの配合はセメント:砂=1:3またはセメント:石灰:砂=1:2:5が標準とされ、芋目地(縦目地が一直線に並ぶ積み方)を避けることも求められます。
壁の長さはどう制限されているのか(令第54条)
令第54条は壁の長さの上限を10m以下と定めています。壁が長くなるほど温度変化・乾燥収縮によるひびわれが生じやすくなるため、一定長さごとに断ち切ることで損傷を防ぐ規定です。
壁の厚さはどう定められているのか(令第55条)
令第55条は組積造の壁の厚さを、階数と壁の長さに応じて次のとおり定めています。
建築基準法施行令 第55条(壁の厚さ)
組積造の壁の厚さは、その建築物の階数及びその壁の長さに応じて次の表に定める数値以上としなければならない。また、各階の壁の厚さはその階の壁の高さの15分の1以上としなければならない。間仕切壁については前記の数値より10cm以下の減少を認めるが、20cm以下としてはならない。各階の壁の厚さはその上にある壁の厚さより薄くしてはならない。
| 階数 | 壁の長さ(隣接壁間) | 最小壁厚 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 2階以上(最上階含む) | 5m以下 | 30cm以上 | 令第55条第1項表 |
| 2階以上(最上階含む) | 5m超 | 40cm以上 | 令第55条第1項表 |
| 1階建 | 5m以下 | 20cm以上 | 令第55条第1項表 |
| 1階建 | 5m超 | 30cm以上 | 令第55条第1項表 |
| 各階共通 | — | その階の壁高さの1/15以上 | 令第55条第2項 |
| 間仕切壁 | — | 上記より最大10cm減(ただし20cm以上) | 令第55条第3項 |
壁が厚くなるほど重量も大きくなりますが、組積造は鉄筋による補強がないため、地震時の水平力に対して壁の自重が転倒抵抗の主体となります。壁厚の規定はこの考え方に基づいています。
臥梁はなぜ必要なのか(令第56条)
臥梁(がりょう)とは、組積造の壁の頂部に水平方向に設ける帯状の梁です。地震時に壁が外側に開くのを防ぎ、壁全体を一体として挙動させる役割を持ちます。
建築基準法施行令 第56条(臥梁)
組積造の建築物の各階の壁の頂部には、鉄骨造又は鉄筋コンクリート造の臥梁を設けなければならない。ただし、壁の厚さがその壁の高さの10分の1以上であり、かつ、壁の長さが5m以下である場合における1階建の建築物については、この限りでない。臥梁の有効幅は20cm以上で、かつ、耐力壁の水平力に対する支点間の距離の20分の1以上としなければならない。
| 項目 | 規定値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 臥梁の材料 | 鉄骨造または鉄筋コンクリート造 | 令第56条 |
| 臥梁の有効幅(最小値) | 20cm以上 | 令第56条 |
| 臥梁の有効幅(比率) | 支点間距離の1/20以上 | 令第56条 |
| 臥梁不要の条件(1階建) | 壁厚≧壁高さの1/10かつ壁長さ5m以下 | 令第56条ただし書 |
開口部はどう制限されているのか(令第57条)
開口部(窓・出入口等)を設けるほど壁の断面が失われ、水平力への抵抗力が低下します。令第57条はその上限を次のとおり定めています。
| 項目 | 規定値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 一の壁における開口部幅の総和 | その壁の長さの1/2以下 | 令第57条第1号 |
| 各階における開口部幅の総和 | その階の壁の長さの総和の1/3以下 | 令第57条第2号 |
| 上下開口部の垂直距離 | 60cm以上 | 令第57条第3号 |
| 開口部と開口部の水平距離 | 壁の厚さの2倍以上 | 令第57条第4号 |
| 幅1m超の開口部 | 鉄筋コンクリート造のまぐさを設ける | 令第57条第5号 |
壁のみぞ(令第58条)・柱(令第59条)はどう規定されているのか
令第58条は壁に設ける溝(電気配管等のための切り込み)の深さを壁の厚さの1/3以下と制限しています。溝を深く掘ると壁の有効断面が減少するためです。
令第59条は組積造の柱について、柱の最小幅・断面の規定を設けています。組積造の柱は壁と同様に圧縮力には比較的強いですが、曲げ・引張力への抵抗が乏しいため、特に横力(地震・風)を柱のみで負担させる設計は避けなければなりません。柱の幅はその断面の最小寸法の3倍以上、かつ45cm以上とすることが求められます。
床・屋根の材料はどう定められているのか(令第56条・全体)
組積造の建築物の床・屋根は不燃材料で造らなければなりません。組積造の壁自体は不燃性ですが、木造の床・屋根を組み合わせると火災時に弱点となるためです。
組積造と補強コンクリートブロック造はどう違うのか
試験で混同しやすい組積造と補強CB造の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 組積造(令第51条〜第62条) | 補強コンクリートブロック造(令第62条の2〜) |
|---|---|---|
| 鉄筋補強 | なし(無筋) | 縦筋・横筋 径9mm以上・間隔80cm以下 |
| 塀の高さ上限 | 1.2m以下(令第61条) | 2.2m以下(令第62条の8) |
| 建築物の高さ制限 | 13m以下・軒高9m以下 | 別途令第62条の4〜7による |
| 壁厚(建物) | 階数・壁長さによって20〜40cm以上 | 令第62条の4〜7による |
| 現在の主な用途 | 既存建築物・塀(新築はほぼなし) | 塀・低層建築物(塀が主流) |
試験で問われやすいポイント
- 建築物の高さ制限:令第51条により、組積造の建築物は高さ13m以下かつ軒の高さ9m以下。塀の高さ制限(令第61条:1.2m以下)と混同しないこと。
- 壁の厚さ(令第55条):2階以上で壁長5m以下は30cm以上、壁長5m超は40cm以上。1階建で壁長5m以下は20cm以上。また各階の壁厚は壁高さの1/15以上。間仕切壁は10cm減じられるが20cm以上を確保。
- 臥梁(令第56条):各階壁頂に鉄骨造または鉄筋コンクリート造の臥梁を設ける。有効幅は20cm以上かつ支点間距離の1/20以上。1階建で壁厚≧壁高の1/10かつ壁長5m以下は設置不要。
- 開口部(令第57条):一の壁の開口部幅の総和は壁長の1/2以下、各階全体では壁長の総和の1/3以下。上下開口部の垂直距離は60cm以上。幅1m超の開口部にはRCまぐさが必要。
- 壁長さの制限(令第54条):壁の長さは10m以下。これは塀の控え壁間隔(令第61条:4m以下)とは別の規定。
一問一答
Q. 組積造の建築物の高さ及び軒の高さの上限はそれぞれ何mか(令第51条)。
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高さ13m以下、軒の高さ9m以下(令第51条)。塀の高さ制限(令第61条:1.2m以下)と混同しないこと。建築物本体に適用される規定。
Q. 2階建の組積造の建築物で、隣接する壁の間の長さが5mを超える場合、その壁の厚さの最小値は何cmか(令第55条)。
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40cm以上(令第55条第1項表)。2階以上で壁長が5m超の場合の規定。1階建で壁長5m超なら30cm以上。壁高さの1/15以上も同時に満たす必要がある(令第55条第2項)。
Q. 組積造の建築物の臥梁の有効幅に関する規定を2つ述べよ(令第56条)。
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20cm以上、かつ耐力壁の水平力に対する支点間距離の1/20以上(令第56条)。どちらか大きい方を満たす必要がある。臥梁は鉄骨造または鉄筋コンクリート造で設けなければならない。
Q. 組積造の建築物の一の壁における開口部の幅の総和は、その壁の長さの何分の1以下か(令第57条)。
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壁の長さの1/2以下(令第57条第1号)。また、各階における開口部幅の総和はその階の壁の長さの総和の1/3以下(令第57条第2号)。幅1m超の開口部には鉄筋コンクリート造のまぐさが必要(令第57条第5号)。
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参照
- 建築基準法施行令 第51条(組積造の適用の範囲)
- 建築基準法施行令 第52条(組積造の施工)
- 建築基準法施行令 第54条(壁の長さ)
- 建築基準法施行令 第55条(壁の厚さ)
- 建築基準法施行令 第56条(臥梁)
- 建築基準法施行令 第57条(開口部)
- 建築基準法施行令 第58条〜第60条(組積造の各部仕様)
- 建築基準法施行令 第61条(組積造の塀)