建築設備・屋上突出物の構造強度とは?水槽・煙突の地震対策(令第129条の2の3・告示第1388号)

ルート君

ビルの屋上にある水槽や煙突は、地震で倒れないようにどんなルールがあるの?

建築物に設ける建築設備や、屋上から突出する水槽・煙突などは、地震や風に対して構造耐力上安全であることが求められます(令第129条の2の3)。

具体的な構造方法は告示第1388号、屋上突出物の構造計算の基準は告示第1389号で定められています。屋上は地震時に揺れが大きくなりやすく、設備の転倒・脱落は人身被害に直結するため、構造上の重要な規定です。

建築設備の構造強度とは何か(令第129条の2の3)

項目 内容
根拠条文 建築基準法施行令 第129条の2の3(建築設備の構造強度)
対象 建築物に設ける昇降機以外の建築設備、屋上から突出する水槽・煙突・冷却塔等
具体的基準 告示第1388号(建築設備の構造耐力上安全な構造方法)/告示第1389号(屋上突出物の構造計算の基準)
求められること 構造耐力上主要な部分への緊結、腐食・腐朽の防止、地震・風圧に対する安全の確認

建築基準法施行令 第129条の2の3(建築設備の構造強度)の骨子

建築物に設ける昇降機以外の建築設備は、構造耐力上安全なものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとし、法第20条第1項第一号から第三号までに掲げる建築物に設ける屋上から突出する水槽・煙突その他これらに類するものは、国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって風圧・地震その他の震動・衝撃に対して構造耐力上安全であることを確かめなければならない。また、建築設備・その支持構造部・緊結金物は腐食又は腐朽のおそれがないものとし、屋上から突出する水槽・煙突・冷却塔等は、支持構造部又は建築物の構造耐力上主要な部分に支持(緊結)するものとする。

屋上の水槽・煙突などはどう規定されるのか

屋上に設置される水槽(高架水槽)・煙突・冷却塔などの突出物は、次の2つの面から構造の安全が求められます。

観点 内容
支持・緊結 支持構造部、または建築物の構造耐力上主要な部分に確実に緊結し、地震時に脱落・移動しないようにする
構造計算 法第20条第1項第一号〜第三号の建築物では、告示第1389号の基準に従った構造計算により、風圧・地震に対して転倒・破壊しないことを確かめる

屋上の突出物は、建物の高い位置にあるため地震力が上階ほど大きくなる(Ai分布)影響に加え、屋上での揺れの増幅を受け、大きな水平力が作用します。そのため、設計用の水平震度に基づいて転倒・滑動・部材破壊が生じないことを確認します(具体的な設計用震度は告示第1389号によります)。

工作物(法第88条)とは何が違うのか

「屋上の煙突」と「独立した煙突」は、適用される規定が異なります。混同しやすい点なので整理します。

項目 建築設備・屋上突出物(令第129条の2の3) 工作物(法第88条・令第138条)
対象 建築物に付属する設備・屋上の水槽・煙突等 建築物から独立した煙突・広告塔・擁壁等
支持 建築物の構造耐力上主要な部分等に緊結 それ自体が地盤等に自立
規定の枠組み 建築設備の構造強度として規定 建築物の規定を準用(工作物の構造規定

つまり、建築物の屋上に載る水槽・煙突は「建築設備・突出物」として令第129条の2の3で扱い、地盤などに自立する独立した煙突・広告塔は「工作物」として法第88条で扱います。

なぜ屋上設備の地震対策が重要なのか

屋上の水槽や煙突が地震で転倒・落下すると、下にいる人や周囲の建物に重大な被害を与えます。過去の地震でも、屋上の高架水槽や設備機器、外装材の脱落被害が数多く報告されています。

建築物本体(柱・はり等)が無事でも、屋上設備が脱落すれば人命に関わります。特定天井の脱落防止と同じく、建築設備・突出物の構造強度は「本体以外の部分の地震安全(非構造部材・設備の安全)」を確保するための重要な規定です。

試験で問われやすいポイント

  • 建築設備の構造強度は令第129条の2の3。昇降機以外の建築設備は構造耐力上安全な構造方法(告示第1388号)、屋上突出物(水槽・煙突・冷却塔等)は構造計算(告示第1389号)で安全を確かめる。
  • 屋上突出物は、支持構造部または建築物の構造耐力上主要な部分に緊結し、腐食・腐朽のおそれがないものとする。
  • 構造計算が求められるのは法第20条第1項第一号〜第三号の建築物に設ける屋上突出物。
  • 独立した煙突・広告塔は工作物(法第88条・令第138条)で扱い、屋上に付属する設備とは規定が異なる。

一問一答

Q. 屋上から突出する水槽・煙突の構造の根拠と求められることは?

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A. 根拠は令第129条の2の3。支持構造部または建築物の構造耐力上主要な部分に緊結し、告示第1389号の基準に従った構造計算で風圧・地震に対して構造耐力上安全であることを確かめる(対象は法第20条第1項第一号〜第三号の建築物)。具体的な構造方法は告示第1388号による。

Q. 屋上の煙突と独立した煙突は同じ規定で扱うか。

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A. 異なる。建築物の屋上に付属する煙突・水槽等は建築設備・突出物として令第129条の2の3で、地盤等に自立する独立した煙突・広告塔は工作物として法第88条・令第138条で扱う。

Q. なぜ屋上設備に大きな地震力を考えるのか。

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A. 地震力は上階ほど大きくなり(Ai分布)、屋上ではさらに揺れが増幅されるため、屋上の突出物には大きな水平力が作用する。転倒・脱落は人身被害に直結するため、設計用水平震度に基づく構造計算で安全を確かめる必要がある。

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最終判断は、所管行政庁または確認検査機関に確認してください。建築設備の構造強度に関する条番号・告示は改正で変わる場合があるため、具体的な構造計算の基準(設計用震度等)は最新の告示・技術基準でご確認ください。本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。

参照

  • 建築基準法施行令 第129条の2の3(建築設備の構造強度)
  • 平成12年建設省告示第1388号(建築設備の構造耐力上安全な構造方法を定める件)
  • 平成12年建設省告示第1389号(屋上から突出する水槽・煙突等の構造計算の基準を定める件)
  • 建築基準法 第88条・建築基準法施行令 第138条(工作物)

この記事を書いた人

ルート君

建築士試験と構造法規を一緒に学ぶキャラクター。