RC造の有効スパン・有効高さとは?柱の有効長さの算定基準(令第78条・第77条の2)
ルート君
RC造の有効スパンや有効高さって、どうやって決めるの?
RC造の有効スパンは支持部材の中心間距離、有効高さ(d)は引張鉄筋の重心から圧縮縁までの距離で定義され、令第78条に基づく構造計算に用いられます。
これらの定義は令第82条に基づく計算において重要であり、許容応力度・変形・ひび割れの検討に使用されます。
はりや床版の有効スパンはどうやって決めるのか
はり・床版の有効スパンは、支点間の距離を基本とします。
| 部材 | 有効スパンの定義 |
|---|---|
| はり | 支持部材(柱・壁)の有効幅の中心間距離 |
| 片持ちはり | 支点中心から先端までの距離 |
| 床版(1方向スラブ) | 支持はりの有効幅の中心間距離(短辺方向) |
有効高さ(d)はどうやって算定するのか
はり・床版の有効高さ(d)は、引張鉄筋の重心から圧縮縁までの距離です。
| 項目 | 算定方法 |
|---|---|
| 有効高さ d | 部材総せい h から引張側かぶり厚さ・鉄筋径の1/2を差し引いた値 |
| あばら筋間隔の制限 | はりの丈(せい)の3/4以下(臥梁は30cm以下)(令第78条。有効高さdではなくはりの丈で規定) |
| 床版の最小厚さ | 短辺スパンの1/40以上かつ8cm以上(令第77条の2第一号) |
柱の有効長さ(座屈長さ)はどう決まるのか
柱の有効細長比の計算では、柱の有効長さ(座屈長さ)を用います。
| 接合条件 | 有効長さ(座屈長さ) |
|---|---|
| 両端ピン | 部材長 l の1.0倍 |
| 一端固定・他端ピン | 部材長 l の0.7倍 |
| 両端固定 | 部材長 l の0.5倍 |
| 一端固定・他端自由(片持ち) | 部材長 l の2.0倍 |
構造計算書では有効スパン・有効高さをどう示すのか
有効スパンの取り方は、柱幅・壁厚の設定によって異なります。
確認申請の構造計算書では、計算に使用した有効スパン・有効高さの定義を明示し、部材の実寸法との関係を示す必要があります。
なぜ有効高さは総せいより小さいのか
有効高さdが総せいhより小さくなるのは、かぶり厚さと鉄筋径の分だけ引張鉄筋の重心が断面内部にズレるためです。
コンクリートは引張力に弱く、はりの引張側(下端)のコンクリートはひび割れ後は引張力を負担しないと仮定します。
このため引張力を担う鉄筋の重心位置を基準とした有効高さdが計算の基準となります。
試験では「dはhより小さい」という理解が問われます。
座屈長さはなぜ端部条件によって変わるのか
柱の座屈長さは、端部の回転拘束条件によって変わります。
端部が固定されているほど材の変形が拘束されて反曲点が内側に生じ、等価な座屈長さが短くなります。
片持ち柱(一端固定・他端自由)が2.0lと最も長くなるのは、自由端では横移動と回転の両方が許容され変形モードが最も大きくなるためです。
「片持ち=2.0l、両端ピン=1.0l、両端固定=0.5l」の3値と理由をセットで押さえておきましょう。
試験で問われやすいポイント
- 有効高さ dの定義:引張鉄筋の重心からコンクリート圧縮縁までの距離(総せいhより小さい)。はりの曲げ・せん断の断面計算に使用。「総せいhを用いる」とする誤答に注意。なお令第78条のあばら筋間隔は「はりの丈の3/4以下(臥梁30cm以下)」で、有効高さdとは別概念。
- 床版の最小厚さ:短辺方向スパンの1/40以上かつ8cm以上(令第77条の2第一号)。片持ちスラブの支持端厚さはね出し長さの1/10超(令第77条の2第二号)。令和5年 学科4 問11(正答4):「1/15以上」では不足するため誤り。
- 柱の座屈長さ(有効長さ)の倍率:両端ピン=1.0l・両端固定=0.5l・片持ち(一端固定他端自由)=2.0l。端部条件が「固定」になるほど座屈長さは短くなる。片持ちの2.0lが最大で、有効細長比が最も大きくなりやすい。
一問一答
Q. RC造の「有効高さ d」とは何か(令第78条に関連)。
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引張鉄筋の重心からコンクリート圧縮縁までの距離。総せい h からかぶり厚さ・鉄筋径の1/2を差し引いた値であり、h より小さい。はりの曲げ・せん断の断面計算に用いる(令第78条のあばら筋間隔は「はりの丈の3/4以下」で別概念)。
Q. RC造床版の最小厚さの2条件は何か(令第77条の2第一号)。
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短辺方向スパンの1/40以上、かつ8cm以上の両方を満たすこと。計算結果と8cmの大きいほうが最小厚さとなる。片持ちスラブの支持端はね出し長さの1/10超の条件とは別(令第77条の2第二号)。
Q. 両端固定の柱の座屈長さ(有効長さ)は部材長lの何倍か。また片持ちの場合は何倍か。
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両端固定=0.5倍、片持ち(一端固定・他端自由)=2.0倍。両端ピン=1.0倍を基準とすると、固定端が増えるほど小さくなり(0.7→0.5)、拘束がないと大きくなる(2.0)。
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参照
- 建築基準法施行令 第78条(RC造はりの仕様)
- 建築基準法施行令 第77条の2(RC造床版の仕様)
- 建築基準法施行令 第82条(許容応力度計算)